今夜は区の耳鼻咽喉科医の会議でした。休日診療所のことや学校医のことなど、皆で協力して行わなければならない仕事について、話し合いをしました。私はこの会の5番目の会員です。その後12年余りの間に、都筑区で最初に開業された村田先生は残念なことに数年前亡くなられましたが、耳鼻咽喉科医院はどんどん増えて、現在会員は12人です。そのうち9人が集まれました。
一昨日は遠出し、かなりの距離自転車にも乗りました。
昨日は、ずっと雨が降り続き、先週まであんなに暑かったのがうそのような涼しさでした。サレジオ祭に行ってみようかとも思ったのですが、前日の疲れもあって、結局家で仕事をしていました。サレジオ祭は、雨にもかかわらず盛況だったそうです。
最近は、耳鼻咽喉科の病気についての記事ばかりで、興味のない方には、申しわけありません。どのように書いているかというと、まず通常の診療で患者さんにご説明している内容をそのまま、書いて行きます。通常の診療では時間の関係もあり、それぞれの患者さんに直接かかわることしかお話ししませんが、ここに書くのはフルバージョンです。どの病気について書くかは、順不同ですが、だいたいその日にその病気でいらっしゃった患者さんがいたとか、最近のニュースでその病気に関係したものがあったとかで、選びます。次に、自分の知識のブラッシュアップも兼ねて、内容を最新の教科書や文献で確認して、訂正や追加を行います。それから、その日のブログとしてアップロードします。
さらに、クリニックのウェブサイトの診療項目(耳鼻咽喉科の病気)のページの該当する病気からリンクするようにしています。最終的に、ブログの記事を整理して、クリニックのWebサイトのページとして作成しなおした方が、読んでくださる方の読みやすさと、クリニックのWebサイトを見ていただける方を増やすための両面から、よいのかどうか検討中です。
その中で、昨日は自宅のMacに入力プログラムのATOKをインストールしました。日常の事とか、耳鼻咽喉科領域でも副鼻腔炎についてであれば、Macの標準装備の”ことえり”で事足りていたのですが、最近ブログに耳鼻咽喉科の病気のことをいろいろ書くようになって、”ことえり”のあまりの学習能力のなさが、ストレスになっていたのです。そしてATOKを購入しようとして、既に家にあることに気づきました。現在使っているWindowsの方でははじめからATOKを入れたのですが、数年前それを買ったとき、近い将来Macも買い替えると予想して、Windows用とMac用の両方がパッケージされているものを買って、それを忘れていたのです。さっそくインストールして、古いバージョンだったので、修正プログラムをダウンロードし、この記事はATOKを使って書いています。
気温が下がり湿度も下がると、風邪の季節になります。それは、耳鼻科の病気になりやすい、耳鼻科の冬でもあります。一部の保育園だけですが、もうインフルエンザの患者さんが出始めています。昨シーズンの当院のインフルエンザ第1号は、年が明けて今年の1月14日でしたが、今シーズンは流行が始まるのが早いのでしょうか。本日から、インフルエンザ予防接種の予約受付を開始します。
口を開けるとのどの両側に見える丸いものを、俗に扁桃腺と言いますが、分泌腺ではありませんせん。正式には口蓋扁桃と言います。扁桃は口蓋扁桃だけでなく、鼻の奥の咽頭扁桃(アデノイド)、舌の付け根の舌扁桃などもあります。体を守る免疫の働きに関わっています。扁桃の炎症を一般に扁桃炎と呼びますが、いろいろな原因によって起こります。
溶連菌感染:細菌性の扁桃炎の中でも、きちんと治療しないと腎炎などの重い合併症を起こすことがあるため、特に注意が必要です。扁桃を中心に、咽頭粘膜に真紅の独特の発赤が見られるので、見ただけでだいたい診断がつきますが、典型的でないものもあるため、簡易キットで検査しますが、数分で結果が出ます。有効な抗菌薬を飲めば、1日から2日で熱も痛みもおさまって、人にもうつらなくなりますが、それまでは一種の伝染病ですから、幼稚園や学校は強制的に休んでもらうことになります。その後も、完全に除菌するために、10日間抗生物質を飲んでいただき、その後治ったかどうかの確認のために、もう一度受診していただきます。この炎症を繰り返すようなら、除菌できずに、この菌が扁桃に住み着いている証拠ですから、扁桃を摘出する手術の適応になります。
細菌性扁桃炎:溶連菌以外の細菌でも扁桃炎は起きます。この点で、小児科と耳鼻咽喉科の考え方に少し差があります。教科書的には小児科では、溶連菌以外の扁桃炎はまず抗菌薬は必要ないとされているようです。しかし、実際には他の細菌でも重症化、遷延化することはあり、小児科でも抗菌薬を処方される先生も多いようです。抗菌薬は、溶連菌でも同じですが、ペニシリンが第一選択です。セフェム系も有効です。マクロライド系は現在あまり有効でなく、薬のアレルギーがあって他の薬が使えない場合以外には、選びません。ニューキノロンは有効ですが、ペニシリンやセフェムが無効のときに選ぶ薬でしょう。急性扁桃炎を年に4回もくりかえすようなら、もう体を守る働きは無くなって、細菌の巣になっている可能性が高いので、扁桃摘出術の適応があります。
扁桃病巣感染症:扁桃が細菌の巣になってしまうと、全身にいろいろな病気を起こすこがあります。代表は、(腎炎)IgA腎症です。掌蹠膿泡症も、少なくありません。
プール熱(アデノウィルス):ウィルスによる扁桃炎の代表です。夏に多く、高熱を発しますが、そのわりには元気なことが多いです。典型的な場合は眼球結膜も炎症を起こすため、咽頭結膜熱とも言われます。この病気は、とくに治療を必要としません。脱水にならないように、十分水分をとって、休むだけです。この病気も、迅速キットで検査することができます。なお、小児の扁桃炎では他の原因の場合も同じですが、鼻の奥のアデノイドも同時に腫れますので、鼻づまりも起きます。
伝染性単核症(EBウィルス):このウィルスの初感染では、ときに強い症状が起きます。通常の細菌感染などで見られるような腺窩性扁桃炎(扁桃のくぼみに白い膿が付く)とは違って、扁桃全体が汚い苔のようなものに覆われているように見えることが多いです。頸部のリンパ節が著明に腫れるのと、肝機能に障害が出るのが特徴です。EBウィルスの感染そのものを血液検査で証明するのは時間がかかりますが、異型リンパ球が血液に見られるのも特徴です。小児に多いですが、しばしば思春期にも発症し、このため欧米ではkissing diseaseと呼ばれることがあるそうです。診断を誤ってペニシリンを投与すると、全身に発疹が出てしまうことが多く、注意が必要です。
この病気の肝機能障害は軽いことが多いですが、稀に重症化します。私も勤務医時代にひとりだけですが、そういった患者さんを経験しています。扁桃炎で受診された思春期の男性でしたが、頸部のリンパ節腫脹が強かったため、血液検査をしたところ肝機能障害があったため、入院させて念のため内科の先生にも依頼しました。ところが、急速に悪化して多臓器に障害が起こり、意識もなくなってしまって、どんな治療行っても日に日に悪化していきました。しかし、脾臓が破裂してしまったため、その摘出手術を行ったことをきっかけに、奇跡的に改善がはじまって、数週間の入院で退院することができました。
白血病、再生不良性貧血など:これらの血液の病気のはじめの症状が扁桃炎であることがあります。のどが痛くて内科を受診され、抗生物質などを投与されても治らないため耳鼻咽喉科を受診され、初診時血液検査をして、これらの病気が見つかったという患者さんは、私の経験では白血病が二人、再生不良性貧血がひとりいらっしゃいます。頻度は多くありませんが、扁桃炎、とくに典型的でない(全体に汚い苔がついたような)扁桃炎を見たときには、血液の病気の事も忘れてはなりません。
扁桃周囲膿瘍、喉頭浮腫:これらは扁桃炎がこじれると起こる、こわい病気です。
扁桃肥大:小児の扁桃肥大は、ただ大きいだけで、とくに体に悪影響が無ければ、経過観察とします。たいていは、4~5歳がピークで、成長とともに小さくなってくれます。絶対的に問題となるのは、睡眠時無呼吸がある場合です。小児の無呼吸は、成長にも問題が起こり、しかも口蓋扁桃とアデノイドを取れば、改善しますので、手術の適応になります。アデノイドの肥大は、滲出性中耳炎や副鼻腔炎に悪影響があると考えられますが、それだけで手術するべきかどうかは、意見が分かれます。アデノイドによる長期の鼻閉は、顎に成長に悪影響がありますが、この点からの手術適応も、まだ決まったものがありません。
今朝はだいぶ涼しくなり、長かった今年の夏もようやく終わろうとしているようです。9月になっても暑い日が続き、今週のニュースによれば、北海道では海水温が上がり、鮭(カラフトマス)が激減して、かわりに本来はほとどいいないマグロやマンボウが、網にかかってくるとのことです。知床では、川を遡上する鮭も少なく、ヒグマが食べものがなくて、人里に出没しているそうです。今年の9月は、本当に異常でした。耳鼻咽喉科の病気はたいてい暑いときは減りますが、唯一鼻出血だけは増えます。今週も鼻血で受診された方が、何人もいらっしゃいました。
鼻出血の大多数は、あまり心配のいらないものです。とくに幼稚園から小学校低学年ぐらいまでは、とくに夏、のぼせやすい季節には、多いものです。この場合は、たいていは、キーゼルバッハ部位と呼ばれる、鼻中隔(左右の鼻腔を分けている、鼻の真ん中の壁)の、鼻の入り口に近い方の細い血管が集まっているところからの出血です。ここに浅い小さな傷ができただけでも、鼻の入り口に近い刺激を受けやすい場所だけに、出血をくり返しやすいですが、通常は出てもすぐ止まります。
出血してしまったら、鼻翼(鼻の入り口の周り)を指で上から圧迫すること。鼻をつまむようにしてもいいです。ときどきもっと上の方の固い鼻骨の上から押さえている方がいますが、それでは圧迫になりません。姿勢は座って下向きかげんの方が良いです。上を向いていると、鼻血が前に出てこないので、一見よいようですが、実際には鼻の奥で血が黒いゼリーのように固まってしまったり、のどに流れて、胃まで飲み込んでしまったりして、よくありません。鼻の中にティッシュなどを詰めるのも、止まるのには効果があるかも知れませんが、取り出すときにまた傷が開いてしまうこともあるので、良いと言えません。
鼻血が出やすいときの予防は、のぼせないこと、さわらないことです。入浴はシャワーだけにして湯船につからないようにする、顔を洗うときも普通に洗ったのでは鼻を動かして刺激してしまうので、そっと拭くだけにするといった、注意が必要です。粘膜の小さな傷が完全の治って粘膜が正常になるのに1週間はかかりますので、その間鼻血がまた出てしまうと、いつまでたっても血が出やすい状態が続きます。あまり続く場合は、自然に溶けて抜去する必要の無いタイプの止血用スポンジを、傷に当てることもあります。
大人では、こどものようにすぐ鼻血は出ませんので、鼻出血には何が原因があることが多いです。キーゼルバッハ部位からの出血であったとしても、小さな血管の壁が膨らんで、血管壁もその表面の粘膜も薄くなって盛り上がっているようなこともあります。こういった場合は、一種の電気メスのようなもので焼いて、止血をしなければならないことが多いです。どうしても止まらず、鼻腔に全体にガーゼをつめてしっかり圧迫し、1週間ほど入れたままにしなければならない場合もあります。
大人でもこどもでも、大多数は局所だけの問題で、それもキーゼルバッハ部位からの出血です。そうではない奥の方からの出血の場合は、ガーゼをつめなければならなくなることが多いです
血液を固まりにくくする薬(血液をさらさらにする薬)を飲まれている方の鼻出血は、たいした傷でもないのに出血して、止めようと思って触ると、その触ったところからまた出血するなど、やっかいなものです。また、血圧が高いと、鼻出血は起きやすくなります。大人の鼻血では高血圧にも注意が必要です。
血液の病気が原因になっていることも、稀ですがあります。鼻以外からの出血、耳鼻咽喉科の領域なら鼓膜の皮下出血や口腔粘膜の粘膜下出血、あるいは手足をちょっとぶつけただけで青あざになるなど、全身性の出血傾向が疑われた場合は、血液検査が必要になります。血液検査に異常の出ない全身性の病気としては、オスラー病という血管の病気もあります。
今までのメールを使ってのアップに比べ格段に便利です。
でも写真のサイズが調節できないのは欠点です。
今日はiPhone5の発売です。大変な人気のようで、すぐには手に入りそうもありません。