先日、読売新聞紙上で、久しぶりに西村賢太氏の名前に出くわしました。芥川賞受賞会見の冒頭、「そろそろ風俗に行こうと思っていた」の発言で数年前、一時期、話題になった作家です。 先日鬼籍に入られた作家・勝目梓氏の弔辞文を書かれておりました。 最後の無頼派(定住せず、酒と女に溺れながら、その生きざまを文章に綴っていくって感じ)の名の如くに、西村氏がどこで何を書いているのかわかりませんが、弔辞を読ませてもらい、彼に対する頼もしさを再確信しました。 現在、誰も使わない、使えない、広辞苑の隅っこにへばりついているような、東大生正解率1%、的な語彙が随所に散りばめられており、静かな高揚感を覚えた次第です。 これぞ西村賢太文学! 彼の小説(私小説)の特徴は、その超文語的な語彙にありまして、石原慎太郎が、芥川賞選考会で彼を押した理由もそこにあるようです。 平易な文体で、限りなく口語調でなければ小説は売れないこのご時世にあって、西村氏には是非、日本近代文学の正当なる継承者として、無骨、バンカラを貫いていただきたいものです。 余談で、こちらも久しぶりの登場、石原慎太郎ですが、氏によって書かれた「亡国」という小説があります。 冷戦真っただ中、新型ウイルスによる日本滅亡の危機を扱っており、今の今、我々が直面する問題を、40年前、的確に描写しています。 正に作家・石原慎太郎恐るべし!です。