大きなかぶ農園の日々

じじとばばのゆるい暮らし

繋がる糸① ひろ子さん

2021年08月29日 22時31分52秒 | 日記

週末、然別湖の温泉でぼーーーっとしていると、(ひろ子さんどうしているのかな、、)と思う。
25年前、十勝の新得町で暮らしていた時に知り合った。 
農業をしていたひろ子さんのところによく遊びに行った。
「もうあそこにはいないさ・・・」 
山奥の古い家には住んでいないだろうと夫が言う。
「そうかもね・・」でも、、、ひろ子さんなら相変わらずケロケロと笑いながら忙しくしているんじゃないか。。。 
運良く夫の携帯電話の電話帳に残っていた番号に電話をすると御主人の正太郎さんに繋がった。 
夫が名前を名乗って思い出話をしているが全く思い出せないという。 
明日の朝、役場の支所の広場で開く野菜市に出るため、ひろ子さん畑でブルーベリー採っているといった。 
やっぱり元気だ!! 少しも変わっていない。 
翌朝然別湖のホテルから直行。広場にはくの字に10店程が並び、このご時世でそこそこの人だかり。 
ざあーーっと見渡す。皆一様にマスクをしているのではっきりとは分らないが・・・あ、あの人だ。 
赤いエプロンに帽子を深くかぶっているが、その人の前にブルーベリーとニンニクが並んでいる。 
まっすぐそこに行く。「ぶるーべりーたべてみてー」と手のひらにこんもり載せてくれた。 
「ひろこさん?」 
「昨日電話もらったナガノさん?、、、ずっと考えているんだけど全然思い出せない・・あ、ここ座って座って」 
自分が座っている横においでおいでをされて、夫も一緒に3人並んでお客さんを迎える格好になる。 
思い出そうとしなくていいのいいの、気にしないで。昔のことより今のお互いを確認し合いたい。 
「へーーーそれでそんな田んぼで10年米作ったの?、、今は?、、ああそう、、だから一息つけるね。。」 
お客さんが来るのでかいつまんだ話になるが、少ない一言で10も20もの事をひろ子さんが瞬時に理解してくれる。 
次々にやってきてお喋りしながら買い物していく人たちとひろ子さんのやりとりを聞いていると 
ひろ子さんの日常の様々な情景が立体的に浮かび上がってきて、こちらもまたひろ子さんの25年間を垣間見る。 
「あ、このひとお世話になってるガス屋さん」「あ、さっきの奥さんには昔大変なときにものすごく助けられたの」 
小さな集落だから、来る人来る人皆知り合いだ。ニンニクの植え方だの、保存法だの相談にのっている。 
作物に農薬も肥料も一切使わないひろ子さん。人との関わり方もシンプルで愛そのもの 
一つ買ってくれた人にも三つ買ってくれた人にも、なんだかんだ一個二個とおまけしてあっという間に完売。 
2、3人の奥さん達が「かわいいよねーーーあの写真!!」「いやだ、はずかしい」??なんの事かと聞けば 
道内の観光案内雑誌『HOほ』の表紙に掲載されたという。「ほぉーーーー!!」 
夫がたまに買ってくる雑誌だが最近は買わなくなっていた。 しかし2日前たまたまTSUTAYAで自分が買った。 
「オレ、車に置いてある」と夫が『HOほ』を持ってきた。「あ!これ、わたし」とひろ子さん。 
あら、ほんと!おんなじ赤いエプロンに帽子姿のひろ子さんが畑の中で笑っている写真、、 
買うつもりの無かったものをふっと魔が差し、うっかり買って、見もせずテーブルに置いたら夫が、、、、 
昔話は一切無かった。ひろ子さんとの新しいページが始まりだした、、、、と思う。