退職女のアメリカ便り

オーストラリアンシェパード、ジュンタのマミーのアメリカ、セントルイス生活

#771: アルツハイマーの臨床実験における倫理

2016-11-28 22:03:06 | アメリカ便り
日曜日の夜はいつも夕食をとりながら主人とテレビプログラム“60 minutes"を見ています。
たいていは6時から始まりますが、フットボールシーズンが始まると始まる時間ががどんどん遅くなっていきます。
ちなみに私は、あんな脳みそ破滅的ゲーム何がいいのかわかりませんが。
これも男が男を感じるゲームなのかしらん。

この“60 minutes”さまざまな課題について深読み的レポートをしてくれます。
昨晩はコロンビアという、少し前(今でもですが)までドラッグの製造密輸で有名なところで、ギャング同士の殺し合いが激しく、私にとっては絶対に住みたくない国のひとつでした。

その国のある地域で、通常、初老期で始まるアルツハイマーが早期におきる集団が存在することがわかったそうです。
平均的に、60歳では1%の人がアルツハイマーにかかり、80歳になるとそれが40%となるということを考えればこの集団のアルツハイマー発症年齢は異常に早く、30代後半から40代半で発病するそうです。

そしてあるドクターがこの実態に気づき教会と連携して、1800年代にさかのぼった家計図を作ったそうです。
そこであることが判明しました。
ある家族で非常に高い確率(50%)で早期アルツハイマーを発症していることがわかったそうです。
そして、遺伝子検査をしたところ染色体#14に存在するある遺伝子にひとつの突然変異が見つかったそうです。
この突然変異を持っている人は確実に早期アルツハイマーを発症するそうです。
アルツハイマーにかかった人の脳にはアミロイドベータプラークとタングルが多数見つかるそうで、今のところアルツハイマーに対する薬の開発にはこのプラークの形成を阻止する化合物の発見に集中しています。

今、アメリカの製薬会社が開発した薬を使って、ある病院でこの集団を用いて臨床実験をしているそうです。
総勢300人、そのうち200人は遺伝子異常があり確実にアルツハイマーにかかることがわかっています。
その200人の内100人には臨床薬が投薬され、残りの100人にはプラシーボが与えられたそうです。
プラシーボとは臨床実験におけるネガティヴコントロールのことで、生理食塩水、臨床薬に含まれている不活性成分などがつかわれます。

昨晩のレポートを聞いていて、“果たしてこれは倫理的臨床実験なのかな~?”と思いました。
この遺伝子に異常を持った人は100%の確立でアルツハイマーを発症するのですよ。
それをわかっていてプラシーボで実験をするなんて倫理的に罪のように感じますが。
臨床実験、いや普通行われる実験でも、ネガティヴとポジティブコントロールがない実験は無効ですが、この場合ネガティブコントロールが必要なのでしょうか。
私は必要ではないと思います。
ポジティブコントロールだけでよいではないですか。

2年ほど前だったか、あるテレビ番組で脳腫瘍のための臨床実験を紹介していましたが、そのときの医者は“この脳腫瘍は非常に死亡率が高く、プラシーボを使うのは倫理的に罪である”といったようなことをいったと思いましたが。
実際に臨床実験を受けている患者の身になれば、確実に発症することがわかっているの自分がネガティヴコントロールとわかったらどのような気持ちになるだろうか(絶対わからないように臨床実験は行われけど)。

こういった実験も時と場合を考えてプラクティカル(実践的)になるべきではないでしょうか。

今日の写真は沖縄西表島、由布島です。

ほとんどの猫がちぎれた尻尾でした。からすとの生存競争が激しいようです。















ハブグレジュンタのマミー