統合医療日記

ここでの統合医療とは単に西洋医学と東洋医学の統合ではなく、病気を肉体と精神と社会及び自然環境の4視点から見ていきます。

人の言葉は心のフルイに掛けて聞け

2010-12-10 11:07:09 | 心療内科医の金言集
                      
                           花盛りの皇帝ダリア                       
 私はメンタル相談をメールではしないようにしている。というのは言語は左脳を使うからメールでは右脳を働かすことが出来ない。右脳は直感の役割をしているので、相手の目の動きや言葉の抑揚などを感じ取ることが出来る。人と話しているのは左脳ばかりではなく、脳の右半球と左半球を使いその協調作用で、互いに正確なコミュニケーションをとっているのである。だがパソコンのメールでは左脳の作用が中心となり、相手も気持ちや感情が分かり難いのである。従って誤解も生じトラブルも起こることがある。相手が見えないで言ってはいけないこともずばずば言ってしまう。メールばかりしていると右脳が退化すると言っても過言ではない。心療内科医の商売は主に右脳を使うのである。

 しかし、逆にこういうことも言える。相手の感情的な言葉や攻撃的な言葉を受けたとき、右脳機能を停止し左脳だけ使えばよい。相手の発した情報だけを常識的に聞けば良いと言うことである。そして相手の心理を右脳でつかむのである。そうすれば相手の言葉を冷静に聞くことが出来、相手の裏の心や本心を知ることが出来る。何分も小言を言われてふるいにかけてみると何も残ってなかったと言うこともある。

 心療内科の外来には特に女性患者が多いが、お局様攻撃などの対人関係や上司のイジメをまともに聞いてうつ病になっている患者が多い。相手の言葉は左脳のふるいにかけ要件のみ聞き、余計な言葉や嫌みで自分の右脳を混乱させずに、前後左右過去未来を見渡すことの出来る右脳を正しく使えば、その人は真のコミュニケーションの達人と言える。
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幸せは苦しみの中で煌めく

2010-12-05 00:22:49 | 心療内科医の金言集
                 
                     クリニックの窓から眺めた景色

 今日は土曜日だが朝から晩まで診療、午前中のうつの患者さんは難しくんかなか治らない重い患者さんが多かった。職場環境や家族問題で起こるうつ病は薬や環境改善で比較的早く治る患者さんが多い。しかし、生き甲斐の問題や本人の幼いときからの価値観に根ざした深い心の問題にふれるのは、かなりエネルギーを要し疲れる。キャンセルがなかったが、合間を見て厨房に行きコーヒーを飲む。窓からふと景色を見たら、荒れた畑の中の木々が終わりかけの紅葉を煌めかせていた。それはまるで重いうつ病の患者さんが、徐々に生きる喜びを見出して診察中に見せる微笑を連想させた。去年は上高地に行き、全山紅葉のすばらしさに驚いたが、寒い荒れた畑の中で見せる僅かな紅葉も何故か輝いてとても美しく見える。苦しい人生の中の喜びのひととき、それは連続する幸せより輝いて見える。

                    午後の患者さんは比較的経過良好である。他のクリニックで再発を繰り返していたが、こちらでは認知療法、森田療法、交流分析、自律訓練と徹底的にストレス耐性を高め、会社の意地悪はあるも無事復帰、もう再発することはないだろう。他の患者さんも回復し、こちらから言うまでもなく患者さんの方から決別宣言を受けてしまった。なにか名前も聞いたことのないような群馬県のラスクやねんりん屋とかいうバームクウヘンをもらった。
                
 ダイエットのためお菓子は食べないようにしていたが、バームクーヘンがとても美味しかったので、ラスクまで食べてしまった。過食を後悔したが、これは快気祝いとした。診療の最後あたりに再発の進行ガンの新患さんが来た。本来の私の目標、統合医療の腕の見せ所である。年をとったので土曜の午後は休診することを考えていたが、どうも無理そうである。長い診療も苦しいが、何故かかえって元気の出ることもある。これも苦しさの中の煌めきか??
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