クリニックの窓から眺めた景色
今日は土曜日だが朝から晩まで診療、午前中のうつの患者さんは難しくんかなか治らない重い患者さんが多かった。職場環境や家族問題で起こるうつ病は薬や環境改善で比較的早く治る患者さんが多い。しかし、生き甲斐の問題や本人の幼いときからの価値観に根ざした深い心の問題にふれるのは、かなりエネルギーを要し疲れる。キャンセルがなかったが、合間を見て厨房に行きコーヒーを飲む。窓からふと景色を見たら、荒れた畑の中の木々が終わりかけの紅葉を煌めかせていた。それはまるで重いうつ病の患者さんが、徐々に生きる喜びを見出して診察中に見せる微笑を連想させた。去年は上高地に行き、全山紅葉のすばらしさに驚いたが、寒い荒れた畑の中で見せる僅かな紅葉も何故か輝いてとても美しく見える。苦しい人生の中の喜びのひととき、それは連続する幸せより輝いて見える。
午後の患者さんは比較的経過良好である。他のクリニックで再発を繰り返していたが、こちらでは認知療法、森田療法、交流分析、自律訓練と徹底的にストレス耐性を高め、会社の意地悪はあるも無事復帰、もう再発することはないだろう。他の患者さんも回復し、こちらから言うまでもなく患者さんの方から決別宣言を受けてしまった。なにか名前も聞いたことのないような群馬県のラスクやねんりん屋とかいうバームクウヘンをもらった。
ダイエットのためお菓子は食べないようにしていたが、バームクーヘンがとても美味しかったので、ラスクまで食べてしまった。過食を後悔したが、これは快気祝いとした。診療の最後あたりに再発の進行ガンの新患さんが来た。本来の私の目標、統合医療の腕の見せ所である。年をとったので土曜の午後は休診することを考えていたが、どうも無理そうである。長い診療も苦しいが、何故かかえって元気の出ることもある。これも苦しさの中の煌めきか??