河童アオミドロの断捨離世界図鑑

ザスドラス博士の弟子の河童アオミドロの格安貧困魂救済ブログ。

メープルシュガーとシナモンティー(第7回)

2008年02月10日 | 試作品
メープルへ

今日はここ河内長野にも雪が降りました。

君の居る紋別は冬の間はずっと雪だと思うと、なんだか、君と同じ環境になれたようで、少しうれしい。

雪は昼過ぎにはすっかり溶けてしまいました。さっきまで真っ白のシュガーコーティングだったグランドも、今は茶色いメープルシュガーです。

どんな出来事もすぐ過去になってしまうのですね。

こうして手紙を書いてる事も、いつか時が経ち、今の気持ちもすっかり忘れてしまうのでしょう。

時は空から降り積もる粉砂糖なのかもしれません。
苦い思い出をすっぽりとコーティングして糖衣錠に変えてくれます。

でも、メーテルとの思い出がすっかり埋もれるには、あと1メートルほど雪が降らないとだめかもしれない。

メープルシュガーとシナモンティー(第6回)

2008年02月04日 | 試作品
銀河鉄道の始発駅には一人の老人が住んでいて
その老人はこの世のすべての事をコイン一枚で決めている

銀河鉄道は宇宙の始まりのビッグバンとともに建設されたが
そのビッグバンを起こすかどうかもこの老人がコインで決めた

一度その老人に、ビッグバンの前は宇宙はどうなっていたのか聞いてみたが
「生まれる前のことじゃから、覚えとらんが、その頃も宇宙は有った」
と言っていた

「銀河鉄道の初乗り運賃120円はこの6000億年ずっと変わっとらんよ」


メープルシュガーとシナモンティー(第5回)

2008年01月28日 | 試作品
もし私が戻れないとしても、あの、鉄郎と過ごした日々は確かに自分の中にあるんだ。

戻れないということは、私がそれだけ未来に向かって進んでいる証拠。

もし私にあの頃と変わらない、しなやかな心が残っていれば大丈夫だろう。

いつか晴れた日にあの河内長野の丘から未来を見てみよう。

鉄郎を乗せた銀河鉄道が今どこを走っているのかが見えるかもしれない。

人は誰でも、時間が経つと、自分がどこに向かっていたのか忘れるけれど、銀河鉄道の見えない軌道はいつも自分の前に続いている。

メープルシュガーとシナモンティー(第4回)

2008年01月27日 | 試作品
メープルへ

僕は今とても悩んでいます。

美大に入ったのは、メディアアートのコースだけ実技試験が無かったからで、とくべつ美術が好きなわけでもなく、「ポリリズム同好会」で君を見てから、学校に来てるのは君に会うためであって、勉強のためじゃなくなってます。

君が一生けんめい、課題の絵を仕上げている姿を見て、すてきだと思う反面、自分自身を振り返ると、何のために今を過ごしているのかが、とても不安です。

君にふさわしい自分になりたいと思うけど、自信がありません。とても自身がありません。

今日も色々なことを考えたまま、朝になってしまいました。

僕はだめな人間かもしれません。結局、色々な事から逃げてるだけなんです。


メープルシュガーとシナモンティー(第3回)

2008年01月24日 | 試作品
私の父は奈良のほうで半導体工場のメンテナンスをやっていた。
一度父の職場に行ったら、みんな白い服をすっぽりかぶっていたのでどれが父かわからなかったっけ。でも一人だけマスクの奥の目が笑っていた。

その時、父が顕微鏡で半導体ってやつを見せてくれたけれど
「銀河鉄道から見たどこかの街の景色みたいだろ」と言ってたのを覚えている。
たしかに機械だけでできている惑星はこんな風だろうな。

その父が言っていた
「月に一度機械をすべて分解してまた組み立てるのだけど、いつも1個だけネジが余ってしまうんだよ。不思議だよ」

今の私はそのネジだと思った。その中に包まれている時には気づかないけれど、後からでは二度と戻れない、時や、場所が、あるのだと。確かにその場所に居たはずなのに、決して戻ることはできず、でも、そのネジが1個なくてもすべて何でもないんだと。

そう思ったら少し涙が出た。でも大丈夫。
昔から「かえでの涙は甘い」と言われていたんだ。
私はメープルシュガーなんだから、決して人生を苦くしょっぱくはしない。


メープルシュガーとシナモンティー(第1回)

2008年01月24日 | 試作品
私の名前は「佐藤かえで」少し背の低い彼は「茶川鉄郎」

そのころはやっていたアニメのせいで「鉄郎とメープル」と呼ばれていたっけ

あの頃はみんな同じ列車に乗って、同じ星座を眺めていたけれど

気が付くと銀河鉄道の乗客は私ひとり

みんなどこで降りたのかしら

それとも私だけ駅を間違えたのかしら

私たちが目指していた星は

ベテルギウスだったかビートルジュースだったか

とにかくそんな名前だったわ



モーリスホワイト:最終回「1万年と2007年前から愛してる」

2007年11月23日 | 試作品
モーリスホワイト:最終回「1万年と2007年前から愛してる」

おかあちゃん、予想通り、やっぱり僕はハエだったんだね
モスラと思っていたのは巨大ウジ虫だった
アヒルの子は結局、白鳥になれなかったよ
不幸で貧乏で不細工で臭くて五月蝿いだけのイヤなやつだったよ
でもね、そんな存在でもどこかに安らぎの場所が有ると思うんだよ
すべての魂が安らかに過ごせる場所がね
草も木も虫も魚もみんながいっしょになってね
ただ未来だけが見えている夏の初めの野原のような
世界と合体できるところだよ

「讃美歌21番 こころをつくして」

こころをつくして みかみをほめうたわん
そのいつくしみを くるひごとかんしゃせん
よびもとむるとき しゅははげましをあたえ
なやむたましいを ときはなちたまえり

神は2007年前から私たちを愛してくれてます

モーリスホワイト脱皮する

2007年11月21日 | 試作品
かあさん、もうすぐ僕は脱皮しそうだよ
背中のあたりがパリパリ突っ張ってきたよ

注1:モーリスホワイト=モスラ猫の名前
注2:経理の仕事が忙しいので画像のアップは遅れる事があります
注3:モーリス=長野県のギターメーカー
注4:白いギター=どいまさる司会の「テレビジョッキー」に出演するともらえた記念品。メーカーはモーリスではなく東海楽器らしい。

神崎川

2007年11月20日 | 試作品
神崎川

♪あなたはもう忘れたでしょう
♪赤いバンダナ覆面にして
♪二人で入った横丁のタバコ屋
♪「一緒にやろうね」って言ったのに
♪いつも私が脅し役
♪磨いた包丁ピカピカ光り
♪小さな婆さんカタカタ震え
♪あなたは財布のお札を数え
♪「少ないね」って言ったのよ

♪若かったあの頃、何も怖くなかった
♪ただ貧乏それだけが怖かった

♪あなたはもう捨てたのでしょう
♪24時間コンビニ狙い
♪あなたが書いた犯行計画
♪「うまく書いてね」って言ったのに
♪いつも漢字が違ってる
♪窓の下には神崎川
♪三十過ぎたの今の私
♪あなたは私の瞳を見つめ
♪「シワ増えたかい」って聞いたのよ

♪若かったあの頃、何も怖くなかった
♪ただ貧乏それだけが怖かった