河童アオミドロの断捨離世界図鑑

ザスドラス博士の弟子の河童アオミドロの格安貧困魂救済ブログ。

テスラハット

2016年02月29日 | ZIZY STARDUST
全人類がもっと賢くなれば戦争も犯罪も無くなる。
人類の頭を良くする「エヂソンバンド」というものがすでに発売されているようなので、
それを上回る「テスラハット」を開発してみた。
頭にかぶるだけで高電圧高周波の刺激で頭が良くなり、
共振高電圧の放電を利用して周囲100メールの人間を倒すこともできる。

小豆島への旅 復活編6

2016年02月27日 | ZIZY STARDUST
小豆島までアオミドリウミガメで泳ぎ渡ろうとした八田二郎は直島のあたりで疲れ果てていた。

「神様、私は本当は鎌倉とか湘南のリゾートマンションみたいなところで
朝から海を見て、シャンパンを飲んでイベリコ豚を食べていたいのです。
月収は100万円程度でいいのです。
車はプリウスの新型で充分です。掃除機もダイソンで充分です。
こんな、些細な夢さえ、神様はかなえてくれないのですか。
だったら『神』とは何なのですか」

「よくぞ質問してくれた。八田二郎よ、幸福や裕福など誰にでも簡単に実現できる事だ。
不幸や貧困や病気をじっくり味わえるのは選ばれた人間だけの特権なのだ。
その貴重な少数の人間に、おまえが選ばれた事に感謝するがいい。
神はすべてを見ておる。
おまえは、飢えや貧困、不幸や絶望の側を見るためにこの世に転生してきたのだ。
その事を忘れるな。
不幸はフォトショップで諧調を反転すれば幸福になる事を忘れるな
でもフォトショップだけが画像ソフトじゃないぞ
アドビにだまされるな
あんなのは印刷業界の陰謀に決まっている」


そういうと、神は高松から土庄までのフェリーのチケットをプレゼントしてくれた。
これでもう冷たい海を泳がなくても済むのだ。
フェリーの中で暖かい讃岐うどんが食べられるのだ。

小豆島への旅 復活編5

2016年02月27日 | ZIZY STARDUST
「先生、さっき、ミドリガメだと海で生きるのは難しい、との指摘を受けました」

「二郎さん、なあに、慣れの問題だよ、東京でさえ、住めば都さ、空気汚染の北京だって
慣れればユートピアだよ。
でも、どうしても、ミドリガメに不満なら、もう一度CTにかけてあげよう。
放射線被ばく許容量はとっくにオーバーしてるけどな」

「お願いします、今度はアオウミガメにしてください」

「私からの提案だが、ミドリとアオのグラデーションにして
ブルーグリーンガメというのはどうかな。
これなら海水でも淡水でも生きられる」

「お願いします。息子にも息子の嫁にも孫にも見放されました。
もう、人生、どうでもよくなりました。
もちろん人ではなくカメの人生ですが」


再びCTのトンネルに入った八田二郎は、
なんだか、会社にあった、コピー機の上に乗ってる気がした。
下のトレイに自分のコピー画像がどんどん出力されて、
シュレッダーで裁断され、燃えるゴミとして袋詰めされて、
毎週火曜日にゴミ置き場に捨てられるのだと思った。
最大の問題は青と緑のグラデーションの境目が上手く表現できるかどうかだった。

小豆島への旅 復活編4

2016年02月26日 | ZIZY STARDUST
岡山、高松、神戸、どこからでも小豆島へ行ける事を知った八田、母子は、
まず、小豆島に行ってオリーブの塩漬けとオリーブオイルを買うことにした。
テレビで見た、もこみち流の料理がいたく気に入ったからだ。

日本列島が海に沈んだ後は、あたりはまるで小島が点在するエーゲ海のようだった。
ジュディオングのヒットソングを口ずさみながら、とし子が前を見て叫んだ。

「あれ、あれをごらんなさい。緑色の生物がこっちに向かってくるわよ。
頭のハゲの形からすると、あれは、八田二郎おじいちゃんよ」

「おーい、とし子、七郎、元気だったかー。
わしはカッパからミドリガメになったよ。
わしは内宇宙に瀬戸内海からエーゲ海まで含んでいるから、
どこにでも連れて行ってやるぞ。
小豆島に行きたいのか、じゃあ、わしの口を通れ。
一瞬で小豆島に着くぞ」

「そんな、加齢臭と歯槽膿漏の口を通るのはやめておきます
私たちはJR西日本で行きます。
今まで、私たちの事にまったく興味を示さなかったおじいちゃんが
いまさら、いい人ぶっても、もう遅いのです」

「なんでだー、わしの株券は換金できれば1憶万円なんだぞ。
わしは、子供や孫の幸福のために、人生を棒に振って生きてきたんだ。
1憶万円あれば、おいしいものや、好きな物が自由に買えるんだぞ」

ふと、我にかえった八田二郎は思った。自分は何がしたかったんだろうか。
自分の好きな物などあったのか、自分が死ぬ時に何が残せるのだろうか。
自分の死んだ時、自分の棺の前で何人の人が涙を流すのだろうか。
少し涙が出た気がしたが、ミドリガメとなってしまった八田二郎には、
もはや、涙の辛さと塩水の辛さの区別ができなかった。

最後の晩餐 皿うどん(揚細麵)

2016年02月25日 | ZIZY STARDUST
「八田二郎さん、じゃあ、これからCTにかけます」

「CTって輪切りにして写す立体的なレントゲンですよね」

「普通のCTはそうですが、この機械は『カッパ・トランスフォーマー』
といって輪切りにしてダルマ落としのように人体とカッパを入れ替えます。
今回はカッパである八田二郎さんをカエルに入れ替える予定でしたが、
あなたの体の動きが遅すぎるので、おそらくカメに変換されます。
そういう指示書が来ています」

「ありがとうございます。じゃあ、これからは、ワンルームのマンションの部屋も不要で
メダカの水槽に住んでイトミミズとかを食べてればいいんですね」

「そうですね、上あごの海が瀬戸内海からエーゲ海まで貫通してますから
もう固い物を噛むのは無理でしょう、イトミミズかボウフラくらいが限度でしょう」

「じゃあ、わたしは明日からカメとして瀬戸内海とエーゲ海を自由に行き来できるわけですね」

約10分間、CTのトンネルの中を往復するうちに、
八田二郎は全身緑色になった。

八田二郎はまだ歯が残っているうちに、
最後の晩餐として、病院の地下の食堂に固い揚げ麵の皿うどんを食べに行った。
医者のふりをして職員定食の食券を買おうとしたら店員さんに制止された。

皿うどんを食べ終わる頃には、もう指も思うように動かなくなり、歯も消え去り、
人間としての意識もほとんど無くなり、完全にカメになっていた。

「あれー、さっきのお客さん、ペットのミドリガメを忘れていってるよ。
一階の受付に届けてこようか」