「父さんはな、自分の殻を破りたかったんだ
だからシオマネキを見て、直感的にあいつなら俺の殻を破れるとみた
しかし、海の底は冷たくて暗黒だった
マリンスノーは降りそそぎ
リュウグウノツカイは泳ぎまわり
自分の心の重さのせいでそのまま深海まで行ってしまった
心の闇と深海の闇は同じ色だった
だから、もう、そこでは自分と世界との境目は完全に無くなっていた
つまり殻をやぶる、とは物理的な事ではなかったんだよ
心の色をありにままに受け止めることだな
もし、すべての色が消えて透明になれば
その時、世界は本当の姿を現すと思うよ」
三日ぶりに海から上がってきた父さんは
一気にしゃべり終えると
濡れた頭をタオルで拭いた
薄くなった頭頂部が光って
まるでカッパのようだった
だからシオマネキを見て、直感的にあいつなら俺の殻を破れるとみた
しかし、海の底は冷たくて暗黒だった
マリンスノーは降りそそぎ
リュウグウノツカイは泳ぎまわり
自分の心の重さのせいでそのまま深海まで行ってしまった
心の闇と深海の闇は同じ色だった
だから、もう、そこでは自分と世界との境目は完全に無くなっていた
つまり殻をやぶる、とは物理的な事ではなかったんだよ
心の色をありにままに受け止めることだな
もし、すべての色が消えて透明になれば
その時、世界は本当の姿を現すと思うよ」
三日ぶりに海から上がってきた父さんは
一気にしゃべり終えると
濡れた頭をタオルで拭いた
薄くなった頭頂部が光って
まるでカッパのようだった