五月はたぶん迷路

「あなた、さっきから、同じ所をうろうろして
どこに行こうとしてるの？」

美術館のキュレーターはあきれたような顔して声をかけてきた

「出口が見つからないんです」

「出口って、ここは２階よ。ギャラリーは３階まであるのよ
そして、順路通りに階段を下りていけば、最後に
ダヴィンチの特別展をやってる部屋があるから
そこを見たあとが、出口よ。
無事に出れるよう、幸運を祈るわ」

1階のダヴィンチのスケッチの展示を見てから
「出口」と書いてある部屋に入っていった

中は真っ暗だった
白い石像が何体も立っていた
とにかく外に出たかったので
光が漏れているドアを引いた

鍵がかかっているのか固かったが
とにかく無理やりドアを開けた

外に出たつもりが、出てきた先が
「この部屋」だったのである