細沼園のお茶飲み話

お茶の時間のひとときに、思いつくまま書きました。

思い出探偵

2009-03-27 21:37:58 | 読書メモ か行
思い出探偵      著者 鏑木 蓮

《内容》
もう一度会いたい人が、あなたにはいますか?小さなガラス瓶、古いお守り袋、折り鶴……、そんな小さな手がかりから、依頼主の思い出に寄り添うようにして、捜しものを見つけ出していく“思い出探偵”。京都御所を臨む地で「思い出探偵社」を開いた実相浩二郎は、息子を亡くし、妻がアルコールに溺れていくのを見かねて刑事を辞めたという過去を持つ。思い出探偵社には、その誠実で温かい人柄にひかれるようにして、元看護師の一ノ瀬由美、役者志望のアルバイト本郷雄高、10年前に両親を惨殺された27歳の橘佳奈子が集まった。粗末なペンダントをわざわざ届けてくれた男性を探す「温かな文字を書く男」、ジャズ喫茶でのわずかな時間の出会いが人生を変えた「折り鶴の女」、車椅子の青年が思い出探偵社を混乱に陥れる「嘘をつく男」、戦後の混乱期に命を救ってくれた男性を探す「少女椿のゆめ」の4編を収録。乱歩賞作家によるミステリータッチのハートフルストーリー。
         (紹介文より)


―――生き方に影響を与える人と人の出会いは、まさに「縁」だと浩二郎は思っていた。そしてそれは会っている時間の長さや、回数などではないことも感じている。互いが共鳴し合うのには、一刹那で充分な出会いが人生にはあるのだ。


―――人生の先達にも苦悩があって、みんな涙を呑んできたことを知り、忍耐というものの大事を教えられた。


シブースト

2009-03-27 19:38:26 | 美味しいもの
ブールミッシュの「シブースト」

上品な甘さ。甘ったるくない甘さ(?)。りんごの甘い香り。香ばしく焼き上げたパイ生地が食べやすく美味しい。
はまりそう。
一緒に飲んだお茶は「煎茶  司」
司は負けず劣らず上品なお茶です。

何もかも憂鬱な夜に

2009-03-27 19:06:14 | 読書メモ な行
何もかも憂鬱な夜に     著者  中村文則

《内容》
なぜ控訴しない?
―施設で育った過去を持つ「僕」は、刑務官として、夫婦を刺殺した二十歳の未決死刑囚・山井を担当していた。一週間後に迫った控訴期限を前にしても、山井はまだ語られていない何かを隠している―。芥川賞作家が、重大犯罪と死刑制度に真摯に向き合い、生きる者と死にゆく者をつなぐ最後の希望を描き出す。
             (紹介文より)



―――自分の判断で物語をくくるのではなく、自分の了見を、物語を使って広げる努力をした方がいい。そうでないと、お前の枠が広がらない


―――「自分以外の人間が考えたことを味わって、自分でも考えろ」あの人は、僕達によくそう言った。「考えることで、人間はどのようにでもなることができる。・・・・世界に何の意味もなかったとしても、人間はその意味を、自分でつくりだすことができる」


―――お前はまだ何も知らない。この世界に、どれだけ素晴らしいものがあるのかを。





うつくしい人

2009-03-27 14:18:04 | 読書メモ な行
うつくしい人   著者 西 加奈子

《内容》
他人の苛立ちに怯え、細心の注意を払いながら重ねていた日々を自らぶちこわしにした百合。会社を辞め、「ただの旅行」で訪れた島のリゾートホテルのバーにいたのは、冴えないがゆえに百合を安心させるバーテンダー坂崎と、暇を持て余す金髪のドイツ人、マティアスだった。美しい瀬戸内海の離島、そこしかないホテルで不思議に近づく三人の距離。地下には、宿泊客が置いていく様々な本が収められた図書室がある。本に挟まっていたという一枚の写真を探すため、ある夜、三人は図書室の本をかたっぱしから開き始める―。会社を逃げ出した女、丁寧な日本語を話す美しい外国人、冴えないバーテンダー。非日常な離島のリゾートホテルで出会った三人を動かす、圧倒的な日常の奇跡。
           (紹介文より)


―――海が信じられないくらい、光っていた。声をあげた後は、ペットボトルを持ったまま、そこに立ち尽くしていた。
     (中略)
海も変わるのだ。こんな立派な海が。では、私が変わることくらい、環境によって自分を見失ってしまうことくらい、起こりうることではないか。