《内容》
父の汚名をそそぎたい。そんな思いを胸に秘めた笙之介は…。人生の切なさ、ほろ苦さ、人々の温かさが心に沁みる物語。 (紹介文より)
―――失ったものを惜しみ、不平ばかり並べていては、寄る幸も寄りつかん
―――そなたが己の心胆に照らし、商人として正しき道を歩むならば、何故神仏がそれお怒りになろう。必ず守護してくださるはずじゃ。商売を替えても、商人の志に曇りがなければ、父はむしろ喜ぶであろう
―――人の世では、親子でも相容れないことがある。解り合えないことがある。気持ちが食い違い、許し合えないことがある。どれほど思っても通じないことがある。立場が身分が想いの真偽を入れ替えることがある。誰かが大切に守っているものが、別の誰かに弊履の如く捨てられることもある。