浄土真宗本願寺派 法徳寺ブログ

神奈川県厚木市にある浄土真宗本願寺派(西)のお寺です。
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平成24年3月の法話「霊能者」

2012-02-29 22:36:03 | 法話
最近テレビのワイドショーの話題といえば、あるお笑い芸人が自宅籠城し家賃を滞納
していて、霊能者に洗脳され人格が変わってしまった、などというニュースではないで
しょうか。
詳しくは解りませんが、美人で明るい性格の人気芸能人が少し見ないうちに
、驚くほど外観も性格も変わってしまったようです。

この話、決して私たち僧侶に無関係の話ではありません。以前にもお話したとおり、
霊魂や幽霊は仏経とは関係ありません。しかし、いくら私に霊能力は有りませんと言って
も、世間一般にお坊さんは、「幽霊を見ることができ、除霊や霊視ができる」と思い込
んでいるようです。それはきっと夏によく放映する「心霊スペシャル」に登場する怪し
い僧侶や占い師のせいでしょう。


実際、以前私は心霊写真を撮ってしまったようなので、この写真を診断して除霊して
欲しいと言う人の依頼を受けました。そのような能力はないと断っても、恐怖と心配で
持ち帰ることなどできないと懇願され、ついに断りきれず引き受け、判断不能ながらも
供養と称しお経を唱えました。その時自分では理不尽ながらも霊能者を演じてしまった
のでした。

浄土真宗信者の心得として「旧教章」には
「~深く因果の道理をわきまえて、現世祈祷や、まじないを行わず、占いなどの迷信
にたよらない」とあります。

これは親鸞聖人が言ったことでもあります。聖人が教えを唄のように綴った「和讃」の中に

「かなしきかなや道俗の 良時・吉日えらばしめ 天神・地祇をあがめつつ 卜占祭祀つとめとす」

意訳(民衆たちは悲しいことだ、日にちの善し悪しを気にしたり、天や地の神を拝んだり、
まじないや占い祈祷ばかりに励んでいる)と阿弥陀仏だけを信じて欲しい気持ちを嘆いています。

親鸞の時代、「仏教=祈祷によって現世利益をもたらすもの」という考えが広まっていました。
実際、病気で苦しむ人を治すために、また商売繁盛、安産、豊作などをねがって、僧侶たちが
盛んに祈祷の経を称えていたのです。
そのような社会で、加持祈祷は断じて釈迦の教えではないと明言したのが親鸞でした。

それは単に浄土真宗を広めたいという気持ちではありませんでした。
お釈迦様の言葉にもはっきりと祈祷や占いを禁ずるとありますし、阿弥陀仏のみを信じ、
すべてをお任せする念仏の教えとは相反する考えだからです。
念仏の教えは誰もが平等に救われる教えですから、祈祷を行なった人のみ救われるということや、
根拠もない理由で祈祷が成功や失敗するのは、阿弥陀仏の願いではありません。

私たちも「深く因果の道理をわきまえ」何が正しい教えか、間違った教えか自分で
冷静に判断できるようにならなくてはいけませんね。そのためには多くの人とコミュニ
ケーションを取り、信頼し相談できる友人を持ちたいものです。


(法話担当 伊東知幸)


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