Romarin フランスの草の根となって

住み始めた時は腹がたち、住み慣れると離れがたいフランスにすみ、45年の年月がたちました。日々のことなど綴ります。

昨日の出来事

2006年02月11日 | 音楽
大変なことが起こりました。
昨日はいつものコンサート会場を離れて、大きなイベント会場でのコンサート。
「指輪物語シンフォニー」でした。映画「指輪物語」の音楽のモチーフを使った6楽章のシンフォニーです。
大々的宣伝をしていわゆる年度の大イベント的なコンサートなのでした。

音楽は映画と見ながら耳に入る分には素敵なのでしょうが、いつも同じトーンで
こんなのでお客さんは満足するだろうか?
と、われわれオーケストラマンの間では危惧していました。

まあ、それでもコンサートはがんばろう、と気を取り直してⅠ楽章を引き終わりました。
指揮者がゲネプロのときに、一楽章のあとで、きっと拍手が出るので少し待つことになります、といっていましたが、まったく出ず、第二楽章を弾き始めたら・・・・

昔バスケットのチャンピオン選手だったという巨人のような指揮者の体がくずおれ頭から倒れたのです。

茫然自失

とはまさにこのこと。

皆総立ちになり、一瞬事態が飲み込めませんでした。
「Pompiers!」(消防夫のことですが、病気、事故などの救急のときによびます。)と叫び、ひかえていたPompiers (イベントの時には必ず来ています)がすぐ駆けつけ、会場に来ていた医者も来て、心臓マッサージ。
来ている人たちに見えないように、われわれオーケストラマンが舞台のふちに立って人垣を作りました。

救急車もすぐ来ましたが動かさない方がいいのか、マッサージを続けました。

もちろん、コンサートはお流れ。会場に来ていた人も、言葉もなく出て行きました。恐ろしさで、気を失った女性もいて、こちらの介抱もしなければなりませんでしたが、彼女の場合は心臓とは関係なかったようです。

皆心配なのと驚愕とで1時間くらいは立ち去れませんでした。
でも、いてもどうしようもないのでまだ鼓動が戻ってきていない、という言葉を聴きながら会場を後にしたわけです。

今日も二回目のコンサートがあるのですが、今連絡待ちの状態です。

いつもユーモアを交えながら楽しく練習をしていった指揮者なのですが、コーラスがアマチュアでまったくさえなかったし、われわれもあまりの音楽の稚拙さに、言葉もなく「こんなのでいいの?」という雰囲気がむんむんと漂っていました。

もしかしてそんな雰囲気を敏感に察知していて、ユーモアたっぷりの態度とは裏腹にかなりのストレスがあったのかも、とか、私なりに勝手に解釈してしまっていますが、実際は病気を持っていたのかもしれません。

指揮者の蘇生を心より祈っています。