二鶴工芸のきままなブログ

京都で呉服に金箔を装飾する金彩工芸の職人です。
仕事のうんちくや商品説明等きままな事を更新していきます。

接着剤(糊)3

2014年08月22日 | アート・文化

二鶴工芸です。
前回の続きで今回は糊を塗るための道具です。
これも職人さんによってですので現在私が使っているものを紹介しますが全てではありません。
オーソドックスなものを載せます。
画像のものです。
先ず駒ヘラです(画像は駒ヘラで糊を塗っています)

これは加工部が大きい場所や箔の艶を出したい時、糊を厚く塗りたい時、摺箔(型紙、スクリーン型を使う時)に使用します(型を使う場合はやや固めた糊)。
次に刷毛、筆類です。
刷毛も大小使い分けします。
加工部が
小さい場所や柔らかく仕上げたい時、タック(粘着)を抑えたい時、箔の艶を抑えたい時に使います
刷毛を使う場合はある程度の技術を要します。
刷毛に付いた糊が乾燥するまでに塗らないと糊が乾燥して刷毛がダメになります。
また均一に塗るには薄く糊を塗って何回も刷毛を繰り返し摺ることが必要です。
習得するには場数を踏んで手で感覚を覚えることです。
ある程度習得すると糊の厚さ、粘着の強弱が調整できるようになります。
刷毛は夏毛と冬毛があります。
私の好みは毛が硬い夏毛です。
これは好みですのできまりはありません。
筆の場合は液体の糊に使います。
滅多に使いませんが、箔だけで構成したデザインに色分けして彩色する場合にベースの箔の上に糊を塗って違う色の箔を貼り分ける場合があります。
また金泥描きといって通常は膠で金泥を溶くのですが金彩の場合は液の糊で溶いて描かれます。
画像にはないですが、ピースといってエアブラシのように吹き付けで糊を噴霧される方もおられます。

私個人の考え方ですが、加工技術について例えば刷毛を使って糊を塗っているからこれは手で加工しています、これはピースを使っているため手で加工していない!とか言う方も昔おられましたが、正直仕上がりが綺麗でちゃんとしていれば問題は無いと思います。
要は結果が全てです。
私もあまりにも大きい場面の加工要求があれば、刷毛では無理なのでピースで吹いてくださいとはっきり言います。
言われれば何でもできないといけないのが職人ですが、できない要件はノウハウを持っている方へお願いするのがベターです。
職人の自己満足でできないことを無理をして納得のいかない仕上がりになれば商品全体のクオリティーも落ちますし、もし購入していただいたお客様にご迷惑をかけます。
勿論チャレンジすることも大事です。





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