遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

ノーベル生理医学賞

2007-10-16 22:30:27 | BIONEWS
路上生活児からノーベル賞学者へ=カペッキ博士の波乱人生-米 (時事通信) - goo ニュース

ちょっと古くなったニュースです。トランスジェニックマウスがノーベル賞をとりました。この技術はもちろん生物学研究にすごいインパクトを与えたのでふさわしい受賞といえますが、基本的には酵母遺伝学で普通に使われていた技術なんですな。酵母は一倍体だし、相同組み換えが優先的に起こるしでメチャメチャ操作が楽なんで、マウスと比べると技術のグレードとしてはずいぶん落ちちゃいますが・・・酵母での基本技術が助けになったのは確かです。とにかくこの技術で、人為的に特定の遺伝子を破壊したり、組み換えた遺伝子を持つマウスを『作り出す』ことが可能になりました。ノーベル賞は新しい発見でなくて、新しい技術に与えられることが多いんですよ。技術の方がインパクト大きいですからね。新しい発見ってのは、分野が違うと「ふ~ん、そう・・・」で済んじゃうこと珍しくないですから。(笑)
哺乳動物細胞で遺伝子挿入が難しいのは相同組み換えの確率が低いからです。逆に酵母細胞、特に、出芽酵母ではとても高い。遺伝子座で違いはありますが、ほとんど『入れ食い』状態です。高等な生物ではトリが入りやすいです。どうしてそうなのかは謎ですが、推測は可能です。酵母にはこれといってウィルスがいないので、防御システムが発達していないのがひとつの理由でしょう。DNAの断裂を修復するには相同組み換えが最も確かな修復方法なので、DNAの断片が入ってくればとりあえず相同組み換えを行おうとするのでしょう。しかし、ウィルスがワシャワシャいる動物細胞では、外から入ってきたDNAの断片は酵素で消化した方が無難です。相同組み換えの仕組みも持っていますが、多細胞生物なのでDNAの損傷が大きく修復がたいへんな細胞は諦めて自滅させた方が全体的には有利。生命現象をなんでも合目的的に推測するのは良くないと思ってますが、まあ、そんなに外れた推測でもないと思ってます。じゃ、ウィルスがワシャワシャいる高等多細胞生物のトリで相同組み換えが高い確率で行くのかは分かりません。トリ由来の培養細胞DT40でだけで起こる現象なのかもしれませんし・・・・。

=====================================

コロラドロッキーズがナショナルリーグ優勝しました!すごい!!全然負ける気がしない!!クアーズフィールドのファンが、箒(スウィーパー)を持って応援しているのには笑いました。4連勝で決めちゃうのを『スウィープ: sweep』って言うんですよ。標高1600メートルですが、その夜のデンバーは熱かったろうなぁ。
ボストンは負けましたね。松坂投手は相変らず不安定です。

パリーグのファイターズvsマリーンズ戦を観戦しました。解説の野村さん、良い味出してましたな。ファイターズは1点差で負けてる9回に切り札のマイケル投手を出して打ち込まれて点差を広げて負けてしまいました。僕が見ても彼のコンディションは悪かったですね。満塁にした時点で換えるべきでした。単なる負け以上の負けです。最終戦でマイケル投手は使えなくなりましたよ。ダルビッシュ投手がしっかりしてるのでまだ有利ですが。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする