遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

頑張れ大銀杏

2010-03-18 21:55:22 | BIONEWS
「大銀杏再生の確率90%」 鎌倉・鶴岡八幡宮(産経新聞) - goo ニュース
先日の強風の影響で倒れた鶴岡八幡宮の神奈川県指定天然記念物「大銀杏(おおいちょう)」は再生可能だそうだ。再生不可能なら変な細胞培養技術まで導入して残すこたぁないんじゃないかと思ってたんだけど、細かい根は生きてて大丈夫ってんだったらそれにこしたことはない。東京農大の先生が指導してるそうだ。天然記念物とか信仰の対象とかそれだけじゃなくて、「人々に愛されてるから」というのもこの銀杏の再生に多くの人が関心を持つ理由なんだろうと思う。そういうことに多くの人が動いて保護されるならとても素敵な話だと思う。
NHKのニュースで紹介してたけど、醍醐寺の秀吉が愛でた桜はクローン技術で再生され、全国200カ所に配られて植えられたらしい。まあ、NHKは『クローン技術』なんていうハイカラな言葉を使いましたが、高等植物の場合「細胞培養によるクローニング」というだけで、動物で行われる核移植を伴うような技術ではありません。細胞を採ってきて、フラスコやシャーレの中で増やして、再び個体として再生させるわけです。クローンとは、「有性生殖を経ずに増えた生物の遺伝的コピー」のことを指します。だから、挿し木や株分けで増やされた植物は『クローン』です(ちなみにクローンという言葉は、ギリシャ語の『枝』からきています)。植物なら昔から簡単に行われてきたのでクローン化に怖さを感じませんが、動物は核移植等の難しい技術を要するので一般の人には馴染みがありません。従って『クローン』という言葉には何となく怖い印象がありますし、なんかエライ高等技術のような印象を与えますが、言葉の指す意味をもっとドライに周知してほしいと理系の私としては思うのであります。

本日のお酒:北雪 大吟醸YK35
コメント
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