遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

気分よく飲めればそれでええっす

2015-06-12 23:37:24 | 
先日、O大の恩師の退官記念パーティーで某関西のウィスキーメーカーS社で働く友人が、ウィスキーが売れてたまらんとゆうてました。
「マッサン」人気で原酒不足「余市」出荷停止へ
たまらんと言うのは、売れるのに増産できないから困ってるということでした。おかげで、高く売れてると♪ ウィスキーは生産に数年単位でかかりますから、ビールみたいにはいかんのです。ビールは2~3ヶ月前に生産計画立てて醸すので、ばっちり当てたら担当者はすんごくうれしいらすい。僕の世代の話なんですが、醗酵工学科の修士を出て関東の某大手ビールメーカーK社に就職すると、研修期間の後に日本各地のビール工場へ着任して最初にやるのが、生産計画を立てる立場になるそうです。もちろん、営業の方から情報は入るんですが、X月はラガーを何tとか決めるんだそうな。

ハクサンフウロ酵母の地酒 県酒造組合連など開発(北陸中日新聞)
相変わらず、石川県は花酵母が好きですなぁ。酵母なんか、腐ったオレンジジュースにいっぱいいるのに♪ ハクサンフウロは、七~八月にピンク色のかわいらしい花を咲かせる高山植物で、本州中部の標高二千~二千五百メートルの高地に広く分布しています。何度でも書きますが、酵母だけで酒の品質は決まりません。花から分離してしまえば、酵母は酵母です。花の香りなんかしませんよ。あくまでも醸す杜氏さんのウデです。酒は気分で楽しむもんですから、花酵母を一概に否定はしませんが。

ニューズウィークに冷泉氏が「日本酒」と"JAPANESE SAKE"という呼称に規制をかけるという日本政府の方針に疑問を呈するコラムを掲載しました。
「日本酒」は国内産に限るという規制は果たして可能か? (NEWSWEEK)
僕も同意見です。日本酒を醸す文化を世界に広げる上でマイナスです。そもそも『日本酒』は酒の種類を示す呼称で、地域ブランドではないです。例えば、アメリカで醸されているサミュエル・アダムスのエールは、"Boston Ale"であって、British Aleとは呼ばないんだけど、Aleというだけで上面発酵酵母で醸したってことはわかるわけです。しかし、"Sake"に"Ale"と同様の知名度はないので、"Japanese Sake"じゃないと"Sake"だけでは何がなんだかわからんとです。
大関はずいぶん前から米国加州に進出して現地で日本酒を醸していますが、あれは「日本酒」ですよ。あくまでも。呼称を規制するなんて、もったいないことすんなって思います。そもそもそれが米国で販売される場合に、日本の規制がおよぶのかどうかよくわかりません。

冷泉氏はこう書いてます。『スコットランドで修行して日本産ウィスキーを開発した「マッサン」の物語が人気を博したことを考えると、日本で修行して今後は海外で「うまい日本酒」を作ろうとしている人々に対して「日本酒やサケを名乗るのは許さない」というのは、あまりに狭量ではないでしょうか。』

話変わって、ニューズウィークに掲載されていた面白いバイオニュース。
人肉食が予防した不治の病
狂牛病由来じゃないヒトのプリオン脳症ってのがありまして、一つはクロイツフェルト・ヤコブ病 "CJD"、そして、クールー。
パプアニューギニアの少数民族フォレ族には、弔いのために死んだ仲間や家族の死体を食べる習慣がありました。身体だけではなく、脳も・・・。もちろん、変性タンパク質を食べてしまえば、数年後に脳がスカスカになる病にかかるリスクがあります。大人には。(実は、この手の病気は老化とリンクしています。子供はかからない。)

しかし、この種族は絶えなかった。

調べてみると、フォレ族の多くが、クールー病やCJDに抵抗力を持つとみられる遺伝子変異をもっていた。ロンドン大学ユニバーシティカレッジのジョン・コリンジの研究チームは、フォレ族から見つかった遺伝子変異をネズミに移植。実験対象のネズミには、クールー病だけでなく2つのタイプのCJD(自然発生に起こるタイプとBSEの牛を食べて感染するタイプ)への抵抗力が生まれた。

発症してしまえば、治療法のない病です。治療法の開発につながることを心から祈ります。

本日のお酒:SUNTORY MALT'S + 高知米焼酎 とさ
コメント
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