遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

「自然」寿命は38年

2019-12-25 23:30:43 | BIONEWS

晴れました。んなもんで、バイク出勤。めちゃ寒かたとです。でも、例年と比べれば温いレベルやな。
gooニュース
週間27日と大晦日は冬型大荒れの恐れ
3か月予報 全国的に高温傾向 日本海側の雪は少ない (tenki.jp)
北陸地方 暖冬・少雪の傾向か (NHK NEWS WEB)
帰省には楽でいいけど、昨シーズンも暖冬だったんでスキー場はかなりピンチじゃないのかな。だからといって、昨昨シーズンの大豪雪もあかん。スキー場にたどり着けないほどの大雪は、なんのメリットもなかとよ。あれは雪と遊ぼうなんて気持ちまで凍結してしまったもんな。

DNA メチレーションでその生物種の大体の寿命がわかるんだね。 
生物の寿命はDNAに書き込まれている。それによると人間の寿命は38年 (NEWSWEEK)
A new study shows an animal’s lifespan is written in the DNA. For humans, it’s 38 years (THE CONVERSATION)

〈以下引用〉
今回の研究では、これまでの研究で解析され、オンラインデータベースで公開されている252のゲノム(DNAの全塩基配列)を使用。これらのゲノムを、別のデータベースにまとめられている既知の動物の寿命と比較した。
このデータから、42の遺伝子でDNAメチル化が起きる場所に着目すれば、脊椎動物の寿命を推測することが可能だとわかった。この手法なら、長寿の種や絶滅種にも応用できる。
〈中略〉
絶滅種のケナガマンモスの寿命は約60年だった。現生種のアフリカゾウもほぼ同じ約65年だ。
ガラパゴス諸島のピンタ島に分布していた絶滅種ピンタゾウガメの寿命は推定120年。1971年に発見された最後の個体ロンサム・ジョージは、2012年に推定112歳で死亡した。
現生人類の絶滅した近縁種であるネアンデルタール人とデニソワ人の場合、最大寿命はたった37.8年だった。
一方、DNA分析による現生人類の「自然」寿命も38歳。この数字は、初期の現生人類に関する複数の人類学的な推定と一致している。医学や生活様式の進歩によって現代人の平均寿命はDNAに書き込まれた寿命よりはるかに延びたらしい。今回の研究の例外的存在と言えるだろう。

生物種によって寿命というのはだいたい決まっているならDNAの塩基配列でそれを探すというのはセオリーだと思うんですが、そうではなくエピジェネティカルに決まっていたんですね。染色体DNAで決まるのならテロメアの長さだとか、テロメアの結合タンパク質を合わせた高次構造だとか考えられてきたんですが・・・種の寿命がDNAのメチル化でわかるというのがこの記事の新しいとこです。
我々の細胞ひとつひとつは全て父と母からもらった2セットのヒト遺伝子群・・・ゲノム・・・を持っています。受精卵の時はそうでもないんですが、細胞が分裂しながら分化していく過程で、使う遺伝子が限定されてきます。例えば神経の細胞と筋肉の細胞では使う遺伝子のセットが違います。使わない遺伝子は発現しないように封じておかないといかん。これがDNAのメチル化。それに従って巻きついたヒストンの状態が変化して使わないDNA領域をギュッと束ねて沈黙させられてしまう。このDNAのメチル化パターンで寿命が読み取れるらしい。個別のじゃないよ。その生物種の寿命。
でも、実験的にDNA配列は変えれるけど、メチル化パターンは自由に変えれないから、証明するのはむずいなー。
ヒト染色体DNAのメチル化パターンからわかる「自然」寿命は38年で、これを医学や生活様式次第で2倍以上延ばせるってのも大切なことだと思う。アフリカゾウに人間並みの医療や福祉を施したら150年くらいに寿命が延びるんかな? かもな。

本日のお酒:立山 特別本醸造 + 熊本米焼酎 たいこばん


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