遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

どっかなんかちがうんだ

2011-05-28 21:23:39 | BIONEWS
日本各地で梅雨入りしてますねー。北陸はいつなんでしょうか? 今日から明日にかけて雨模様なんで、これで入梅っすかね。今年は早いよね。
獅子吼エリアではJPAの大会が開かれてるんで、あんまし期待せずに出撃。空模様はどん雲りで、大会に出るような猛者達の翼を持ってしてもそのままどうすることも出来ずに着陸してしまうという素敵コンディション♪ おかげで、レースに関係ない僕にもフライトチャンスがありました。w レースに出る人たちって、肉食系だから気を使います。空中で怒鳴ったりするんよ。特に関東から来る人・・・。
着陸場はしっとり濡れてるんで、買ったばかりの曲久郎は温存してARTIK林檎くんをグライダーザックに詰めて入山しました。ただいま三機態勢になってまして、その日の状況に合わせて翼を使い分けてます。お空の様子は上の写真を参照してくだされ。どんよりしてるでしょ。

昨日、iPS細胞について書きましたが、もうちょっと前に2つほど僕にとって気になるニュースがありました。
iPS細胞なのに拒絶反応 再生医療応用に課題
ひとつはこれ。もうgooニュースから引用できないので直接リンクつけます。ASAHI.com以外の各新聞のサイトでも報道されてました。このイシューは再生医療にiPS細胞が使えるのかどうかを左右する大切な問題なので、注目されたんでしょうな。僕は細胞齢のリセットや幹細胞としての多機能性獲得がどのように行われたのかに興味があります。そのためにiPS細胞関係の基礎研究には興味があります。再生医療に使えるかどうかは正直どうでも良(ry
iPS細胞は自分の細胞ですから拒絶しなくても良さそうなもんですが、元が自分の細胞であればオールマイティかと言えば、そんなわけがありません。例えば癌っていうのは毎日のように私たちの身体で発生してまして、それはその都度免疫系が戦って馳駆しているわけです。癌っつーても、『自分の細胞』です。しかし、ナチュラルキラー細胞さん達は識別して退治してるんですな。やっぱ、仲間だけど暴走しそうなんは分かるんやな。じゃ、人為的にiPS細胞を導入された時に、周囲の他の細胞との識別ができないかというと・・・出来るんだろうなぁ・・・というお話。

んじゃ、どこが違うんだろう??

そこで、このNatureの記事。
iPS細胞に問題あり?
一流科学誌ですが、一般人も読む記事の欄なので読んでみてくだされ。怖くないよ♪
要約するとDNAの塩基配列はそのままで遺伝子発現が変化する「エピジェネティックな変化」のパターンが、iPS細胞がES細胞と同じではなく、そのiPS細胞の元になった成体組織細胞のパターンに似ているというお話。もちろん他の問題についても触れられていますが、最も重要なのがこの点でしょう。
我々の身体の細胞は両親からもらった1セットの遺伝子群(ゲノムって言います)を持ってますが、それぞれがいろんな種類の細胞でできています。同じ設計図と素材を持ってるけど組み立て方が違うんで機能が変えられるわけ。そのひとつの方法が、DNAを取り巻く高次構造を変えて、その機能発現を抑えたり促したりして、同じ遺伝子のセットがあったとしても細胞ごとに遺伝子の働きを変えるのです。だからいろんな種類の細胞ができるんですな。「エピジェネティックな変化」っていうのは、DNAを取り巻く高次構造の状態の変化のことでして、この記事のポイントはiPS化する前の状態がiPS細胞に残っているために完全にリセットができてないってことです。ま、少数の遺伝子を導入して人為的に幹細胞にしちゃうんで、完璧ってことはないんでしょう。これが最初の記事で出てくる『拒絶反応』の原因ではないかと思ったりしてるんですが、どうですかね? ま、誰でも思いつくことですが。

本日のお酒:SUNTORY 角HIGHBALL
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