岡鹿之助 展

愛読しているTatankaさんのブログで岡鹿之助展が開催されていることを知った。

今日が最後と聞き慌てて八重洲のブリジストン美術館に行った。




あまり混んでおらず、意外だったが、じっくり見る事ができて大変良かった。

(本当は撮影禁止だったらしい。<笑>

実は思い起こせば、昭和56年ー57年、仕事の関係で岡家に出入りしていた。

岡画伯は、当時はもう80歳近くになられていてその後間もなく亡くなってしまわれたのだが、今回当時の事をいろいろ思い出した。

田園調布にお一人(生涯独身?)住まわれていてお手伝いさんがいらしたように記憶する。

少年の様な純粋なオジイチャンで、パンジーを持っていくとニコニコと大変喜んでくださった。(パンジーの絵は今回も多数出ていた)

描きかけの絵をみせて貰った事もある。
恐らく「雪の庁舎」だったと思うが、当時既に「号あたり日本で一番高い画家」といわれていて「これいくらすんだ?」と思った記憶がある。

この時は、画面の半分は完全に完成しているのに、残り半分はカンバスの布がむき出しになっていて驚いたのだが、下絵を描いてその上に重ね塗りをして整えていくのではなく、「頭の中でできている絵を端からカンバスに移して行くだけ」とおっしゃっていた。「4歳で絵描きになろうと決心してから今まで一度も公開したことはないよ」とも。


クラシック音楽がお好きで大きなオーディオセットもあったが、「ビートルズってすごいんだよ。今までに無い音楽の革命なんだよ」とおっしゃって新しいものにも旺盛な興味をお持ちだった。

一方飾らないお人柄で「痔が悪くってさー」と笑ってもおられた。


ご自宅には「藤田嗣治」からもらったという、でかくて木彫りの有る黒っぽいアンティークの箪笥があり、「フランスから持って帰ってきたとき、値段が分からずに税金がかからなかったんだよ」と笑っていらした。

一方、今回初めて知ったのだが、作品の数が意外に多く、しかも個人所有の絵が相当あるらしい。

絵の他に若い頃から晩年まで数枚の写真が展示してあったが、恐らく晩年に自宅で撮影されたと思われる一枚が、正に私の中での岡画伯その人であった。

画集を買ったのだが、この写真が無かったのは残念。

さて肝心の絵だが、私の好みは「雪」のシリーズ。



特に、「雪の発電所」(ブリジストン美術館蔵)が好きだ。

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