( コルマールの街 )
ストラスブールに3泊し、一日、アルザス地方の小さな町コルマールを訪ねた。
ドイツとの国境にあるにもかかわらず戦災に遭わなかったから、中世以来の古い街並みが残り、ドイツ風の木組みの家々、窓には花が飾られ、メルフェンチックな町として観光客に人気がある。
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今日は日曜日。ホテルからトラムに乗って、ストラスブールの国鉄 (SNCF) 駅(Gare) へ。
トラムに乗るのも、駅で切符を買うのも、一つ一つが言葉の通じない国でのことだから、時間の余裕をもって行動する。
(ストラスブール駅構内・カフェから撮影)
鈍行(Ter)に乗り、ゆったり座って約30分。コルマールに到着した。
ヨーロッパの鉄道駅はたいてい町のはずれにある。
ヨーロッパの都市の多くは、かつて城壁で囲まれていた。城壁の中は、とりあえず安心であるから、市庁舎や、いくつもの聖堂や、市(イチ)の立つ広場や、有力者の宮殿・邸宅のほかに、商工業者の木組みの家々もびっしりと並んでいた。そこへ、近代になって登場した蒸気機関車の線路や駅が、オレの居場所を、と言ってもムリというものなのだ。
車社会になったのは、もっとあとだから、悲惨である。
例えばパリの町の中で、自分のパーキングをもっている人などほとんどいないだろう。表通りを一歩入れば、5、6階建ての石造りの建物が並んだ狭い道は必ず一方通行で、道の片側が公共のパーキングとなっており、夜にでもなれば、街灯の下に車がびっしり、かつ整然と並んでいる。その車間はせいぜいが10センチ。車を出そうと思えば、前後の車をじりっ、じりっと押して、空間を作るしかない。洗車などだれもしない。ゆえに、家具調度などは古いものほど価値があるヨーロッパで、車は、BMWであれ、フォルクスワーゲンであれ、消耗品である。
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11月だというのに、おそろしく冷え込む。
駅前広場から旧市街へ向かって、1本道の道路の歩道を延々と歩く。昨年、1か月おくれの12月にスペインに行ったが、もう少しは暖かかった。パリもそうだが、ここアルザス地方も、もともと寒い森の国なのだ。夏から、短い秋を経て、すぐに冬になる。太陽の出ない日のフランスは、陰鬱で、苦しい。
それでも、旧市街に入ると、さすがにメルフェンの町だ。
面白い看板もいろいろあったが、これ ↓ が、NO.ワンだ。
昼食のため入ったレストランの定食を見て驚いた。豚の肩肉。のボリュームに圧倒され、半分も食べられなかった。
日本の会席料理のように、次々と違う料理が出てくれば、腹いっぱいになっても、「これも美味しそう」と思って、食べてしまうこともあろうが、同じ味の物を延々と食べ続けるのは、かなり苦痛である。
季節外れのために、町を一周するプチトランも、運河クルーズもなく、歩いて回っても、小さな街なので、歩き終えてしまった。
この旅を計画していたとき、午前中にコルマールを見て、午後はワイン街道をめぐるツアーに参加したいと思った。
ワインセラーやワインのテイスティングなどというハイカラな趣味はないのだが、バスに乗って、アルザスの田園風景、小さな村や小さなお城のある風景を眺めたいと思った。
日本を出る前に申し込もうと思ったら、ワイン街道をめぐるツアーは10月末までで終わりだった。
この地方は、あちこちの町のクリスマス市も有名で、12月になると、クリスマス市を巡るツアーもあるらしい。11月は端境期で、何もない。
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ストラスブールに戻り、トラムに乗って車中から街の観光をしたり、イル川の畔や旧市街の中をそぞろ歩きした。冷え込んだ。
※ 2014年は、今年よりももっと良い年になりますように。(やはり、社会は右肩上がりでな ければいけないと思います。)
皆さん、良い年をお迎えください。