桜井 浩子 / 小学館(1994/06)
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江戸川由利子とフジアキコの桜井浩子さん青春期。当時17歳の女の子の視点から見た特撮テレビ番組の草創期の記録。当時のスタッフの熱き想いとウルトラマンを通じて女優として成長していく様子が伺えます。

やはりバルタン星人のエピソード。

当時のキャストたちの衝撃は凄まじい物だったようだ。子供の頃何気なく見ていて、当然のようにウルトラマンのライバルとして認知されていったバルタン星人だが、アフレコルームでは初対面の彼等は「何だ、これは!」と絶句するも見ていくうちにその造形の美しさに魅せられていく。
「こういつ気味悪くないぞ」とアラシ隊員。
「きれいだわ」とフジ隊員が思わずつぶやく。
皆感動してしまうのだ。そしてムラマツキャップが隊員たちに向って決意を明かす。
「これは子供だけの番組じゃないぞ。あの特撮に相応しい芝居を、オレたちもしようじゃないか。だからな、しっかりやろうな、ふざけないで」
特撮の素晴らしさと当時の役者の感性があって、今もなお愛され続ける番組になりえた記念すべきエピソードです。

他にも着ぐるみ内のウルトラマン古谷敏、ネロンガ中島春雄の仕事ぶりを見学した時など、失礼だが当の桜井さんがまだまだ若くプロ意識が芽生える途上の目線で書かれているので初々しく説得力があります。
実相寺監督の拘りなどは現在であればドラマ作りの常識なんでしょうが、あの拘りをウルトラに持ち込んだ功績は大きいですね。
怪獣墓場でフジ隊員を魚眼レンズで撮って、桜井さんから大クレームを付けられる。
「なんで魚眼レンズなんかで私を撮るの!」に
「だって一度、女優の顔を魚眼レンズで撮ってみたかったんだもん」
この茶目っ気が良いですね。

1994年出版の本なのでこの本自体がもう14年も前のものだ。
巻末の座談会には小林昭二氏の姿もある。
二瓶正也の「ウサギにツノ」エピソード。
実は二瓶氏は我等が学校の先輩にあたるので、面白くもちょっと悲しいエピソード(あの学校では無理もないか)

予算の関係もあって、やがてウルトラシリーズは単なる子供向け番組になって行ってしまう。
私も成長とともにウルトラ兄弟の設定が許せなくて離れて行った。
だが、今、子供と一緒にウルトラマンタロウのDVDなど見ると、それはそれで楽しめる。(エースは未だに苦手ですが)
現在タロウを別次元で楽しめるのもウルトラQ、ウルトラマン、後のウルトラセブンといった大人の鑑賞に堪えられる作品作りがあったればこそ。というのは言うまでもないのです。


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