「奈良・鎌倉に続く」日本三大大仏!「最古のビリケン」に「最大の運河」もある港町エリアの歩き方
BRAVO MOUNTAIN編集部 より 220814
日本三大大仏の一つ、神戸市兵庫区の兵庫大仏
日本三大大仏と聞いて、人はどの大仏を思い浮かべるだろうか。
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奈良、そして鎌倉。おそらくほとんどの人がこの二つを挙げたあと、もう一つはどこ? となるだろう。答えは意外にも、おしゃれな港町・神戸の兵庫大仏(高岡大仏、岐阜大仏など諸説あり)。
その昔、平清盛が都を移した福原京の南辺、「兵庫津(ひょうごのつ)」と呼ばれるエリアを歩き、日本最古のビリケンや日本最大の運河、そして兵庫大仏を追った。
兵庫津散策のルート
■日本最古のビリケン木像
住宅街にひっそりと佇む松尾稲荷神社。幽玄な雰囲気にたじろぎながらも本殿に入ると、いちばん奥にビリケンが祀られていた。ビリケンといえば大阪・通天閣が有名だが、元はアメリカのデザイナーが生み出した幸福の神像。日本へは明治時代に紹介されて大ブームとなった。
戦災を生き抜いて現代に伝わるものは少ないが、この松尾稲荷神社のビリケン像は大正中期につくられた現存最古の木像といわれている。
■日本最初の人工島
兵庫津はその昔、大輪田泊(おおわだのとまり)と呼ばれる天然の良港だった。平清盛が日宋貿易の基点として港を改修し、波風を防ぐため沖合に築いた経ヶ島(きょうがしま)は日本最初の人工島とされる。
位置は特定されていないが、別名を「築島(つきしま)寺」ともいう来迎寺の正面にあったという。
■日本三大大仏
来迎寺にほど近い能福寺に、日本三大大仏とされる兵庫大仏がある。像高は奈良大仏が14.98m、鎌倉大仏が11.39mなのに対し、兵庫大仏は11m。
明治24年の建立。外国人船乗りからも港の目印として評判で、当時は文句なしの三大大仏だったが、戦時の金属回収令で供出されてしまい、現大仏は平成3年の再建。このため兵庫大仏ではなく高岡大仏(富山県)、岐阜大仏(岐阜県)などを三大大仏として数える場合もあるようだ。
兵庫大仏(能福寺)
・所在地 兵庫県神戸市兵庫区北逆瀬川町1-39
・拝観時間 午前10時~午後4時
■日本最大の運河
海運で栄えた兵庫津。海の難所を避けるために計画された兵庫運河は、25年もの歳月をかけ明治32年に完成した。
兵庫運河とは、兵庫運河(本線・支線)や新川運河など、このあたりにある5つの運河の総称で、水面積(約34ha)が日本最大級の運河だ。航行する船もめっきり減ったが、今でも沿岸の工場で作られた新幹線車両がここから船に積まれて運ばれるなど活用は続いている。
運河の一部はその役割を終えて散策路として整備され、市民のための憩いの水辺になっている。
⚫︎運河の開削で失われた兵庫城跡
運河の開削で失われた兵庫城跡は、兵庫県庁が最初に置かれた場所でもある。ちなみに初代県知事はあの初代総理大臣・伊藤博文だ。
江戸時代に一帯の中心だった兵庫は、県名にはその名をとどめたが、後に外国人居留地のできた隣の神戸村の隆盛に飲み込まれ、兵庫県神戸市兵庫区となった。この成り立ちは神奈川県横浜市神奈川区とまったく同じである。
心地よい海風を受けながら運河を歩き、長く紡がれた兵庫津の歴史に思いを馳せるのもまた格別だ。