毎日のように遊びに来る幼馴染がいた。
だらだらとゲームをしたり、本を読んだり、一緒に遊んでると言えないような日が大半だったと思う。
「よう」「じゃあな」
だけしか喋らないこともあった。
夏休みの最終日、例によって彼がうちへと遊びに来た。
おう、と挨拶だけして、クーラーも効いていない部屋でぼんやりと漫画を読む。
ふたりとも宿題は済んでいたのだが、僕はやっぱり憂鬱だった。
「夏休み、今日で終わりだな」
「あぁ」
「明日からまた学校かー、めんどくせぇー」
「そう言えば」
彼は、何度読み返したか分からない漫画に視線を落としたままで言う。
「俺、今日引越しするから」
「は?」
「だから、明日からは違う学校に行くことになる」
「・・・マジで?」
「うん、マジで」
あまりにも急な発言に、僕は何だか騙されたような気分だった。
結局その日は、昼前に帰って。
次の日、本当に学校には来なかった。
それでもまだ、何だか信じられないような、夢を見ているような、不思議な気分だった。
当然、それ以来彼はうちに遊びに来ていない。
一度電話が来たが、何だかあまりにもいつも通り過ぎて、悲しいとか寂しいとか思う暇もなかった。
それでも僕は、彼を親友だと思っていた。
何も喋らなくて良い関係。
ただそこにいるだけの存在。
何だか、そんなのが心地よかった。
少し経って、本当にどこかに行ってしまったんだと理解できて、やっと少し寂しくなった。
何も言わずに引っ越していった彼は、どんな風に思ったのだろうか。
元々感情を表に出すタイプではなかったし、そんな彼をどこまで理解できているのか分からない。
彼もやっぱり寂しかったのだろうか。
だから、ギリギリまで何も言わず、日常を続けて行ったのだろうか。
それとも、単に常識のないヤツだったのだろうか。
・・・それも否定できないな、と少し笑った。
いつかの電話で聞いた声は、それなりに元気そうだった。
なら、まぁ、今のところはそれでいいか。
僕はそんなことを思いながら、自分のベッドに寝転んで、彼のお気に入りの漫画に手を伸ばした。
だらだらとゲームをしたり、本を読んだり、一緒に遊んでると言えないような日が大半だったと思う。
「よう」「じゃあな」
だけしか喋らないこともあった。
夏休みの最終日、例によって彼がうちへと遊びに来た。
おう、と挨拶だけして、クーラーも効いていない部屋でぼんやりと漫画を読む。
ふたりとも宿題は済んでいたのだが、僕はやっぱり憂鬱だった。
「夏休み、今日で終わりだな」
「あぁ」
「明日からまた学校かー、めんどくせぇー」
「そう言えば」
彼は、何度読み返したか分からない漫画に視線を落としたままで言う。
「俺、今日引越しするから」
「は?」
「だから、明日からは違う学校に行くことになる」
「・・・マジで?」
「うん、マジで」
あまりにも急な発言に、僕は何だか騙されたような気分だった。
結局その日は、昼前に帰って。
次の日、本当に学校には来なかった。
それでもまだ、何だか信じられないような、夢を見ているような、不思議な気分だった。
当然、それ以来彼はうちに遊びに来ていない。
一度電話が来たが、何だかあまりにもいつも通り過ぎて、悲しいとか寂しいとか思う暇もなかった。
それでも僕は、彼を親友だと思っていた。
何も喋らなくて良い関係。
ただそこにいるだけの存在。
何だか、そんなのが心地よかった。
少し経って、本当にどこかに行ってしまったんだと理解できて、やっと少し寂しくなった。
何も言わずに引っ越していった彼は、どんな風に思ったのだろうか。
元々感情を表に出すタイプではなかったし、そんな彼をどこまで理解できているのか分からない。
彼もやっぱり寂しかったのだろうか。
だから、ギリギリまで何も言わず、日常を続けて行ったのだろうか。
それとも、単に常識のないヤツだったのだろうか。
・・・それも否定できないな、と少し笑った。
いつかの電話で聞いた声は、それなりに元気そうだった。
なら、まぁ、今のところはそれでいいか。
僕はそんなことを思いながら、自分のベッドに寝転んで、彼のお気に入りの漫画に手を伸ばした。