5/15 の産經新聞に,「排ガス -> ぜんそく 関係は?」という見出しで,環境省が「気管支ぜんそくをはじめとする呼吸器疾患と自動車の排ガスとの因果関係を突き止めようと ...今年度から5年がかりで大規模な調査に乗り出す」という記事があった.
ちゃんとした,疫学調査をすること自体は良いことだが,「いままで,何してたの?」という違和感を強く感じた.
ちょっと調べると,毎日新聞では,以下のように報じていた.
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環境省:
ぜんそくなど、排ガスとの関係研究へ--幹線道沿いの小学生対象に
環境省は26日、首都圏と中京地区、阪神地区の交通量の多い幹線道路沿いに住む小学生約1万6000人を対象に、自動車排ガスと気管支ぜんそくなど呼吸器疾患との関連を調べる大規模疫学研究を始めると発表した。今年度から5年間、ぜんそく発症の有無や症状の重さなどを追跡調査し、排ガスが健康に与える影響を明らかにする。これほど大規模な研究は世界にも例がないという。
ディーゼル排気微粒子などの排ガスは、呼吸器疾患の発症と関係があるとみられている。しかし、大気の汚染度とぜんそくの発症率、吸い込む汚染物質の量と症状の重さなど具体的な因果関係はよく分かっていない。
そこで同省は、東京都内の環状7号、同8号と名古屋市内の国道302号、阪神地区の国道43号のそれぞれ沿線に住む小学生1~3年生を対象に研究を計画。保護者の同意を得て血液を検査し、ぜんそくを発症しやすいアレルギー体質かどうかを確認したうえで、健康状態の推移を追跡。幹線道路と自宅の距離や、対象者の生活実態、汚染状況のサンプル調査などから、一人一人が吸い込む汚染物質の量を推計し、健康状態とつき合わせて、排ガスの影響を評価する。【江口一】
毎日新聞 2005年4月27日 東京朝刊
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(http://www.mainichi-msn.co.jp/kagaku/env/news/20050427ddm003040019000c.html より)
ぜんそくと排ガスについては,4/25日の記事に書いた 「ディーゼル排ガスと健康」のシンポジウムでも発表された,嵯峨井勝先生(青森県立保健大学健康科学部教授)が,国立環境研におられたころから色々と研究されていて多くの論文がでている.
二酸化炭素濃度だけをみてもだめで,二酸化炭素とPMの相乗効果がはっきりと,ぜんそくを引き起こす引き金になっていることが判っている.
環境省の担当者は,まず,これまでに発表されている世の中の論文を,もう一度勉強すべきではないだろうか?
先の産経新聞の記事によると,環境省では,以下のように話しているらしい.
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「緻密に暴露量を算出し,継続して調査することで汚染物質がどのくらいぜんそくの発症の要因になっているのかを明確にしたい」
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その前に,すでに我が国で定められた環境基準が諸外国の最新の基準と比べてどうか?実際の幹線道路およびその周辺の大気汚染が,24時間365日どのように変動するか?(天候風向きも考慮して)などを,緻密に解析し直すべきではないだろうか?
実は,大気汚染のデータそのものは豊富にあるのだ.
せっかくの 「大気汚染物質広域監視システム」 からの24時間測定データがあるのだから,これを,気象,大気環境,呼吸器医療,小児科臨床,疫学等の学際的研究チームを組んで,継続的に研究すべきだと思う.
4/24のシンポジウムでの「酸性雨調査研究会/日本環境学会プロジェクトチーム」の東京の大気汚染についての発表もこのデータが用いられていた.
そうえば,山本英二先生(岡山理科大学総合情報学部教授)が,日本の環境関連の研究は「疫学的な視点が弱い」とおっしゃっていたなぁ...
ちゃんとした,疫学調査をすること自体は良いことだが,「いままで,何してたの?」という違和感を強く感じた.
ちょっと調べると,毎日新聞では,以下のように報じていた.
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環境省:
ぜんそくなど、排ガスとの関係研究へ--幹線道沿いの小学生対象に
環境省は26日、首都圏と中京地区、阪神地区の交通量の多い幹線道路沿いに住む小学生約1万6000人を対象に、自動車排ガスと気管支ぜんそくなど呼吸器疾患との関連を調べる大規模疫学研究を始めると発表した。今年度から5年間、ぜんそく発症の有無や症状の重さなどを追跡調査し、排ガスが健康に与える影響を明らかにする。これほど大規模な研究は世界にも例がないという。
ディーゼル排気微粒子などの排ガスは、呼吸器疾患の発症と関係があるとみられている。しかし、大気の汚染度とぜんそくの発症率、吸い込む汚染物質の量と症状の重さなど具体的な因果関係はよく分かっていない。
そこで同省は、東京都内の環状7号、同8号と名古屋市内の国道302号、阪神地区の国道43号のそれぞれ沿線に住む小学生1~3年生を対象に研究を計画。保護者の同意を得て血液を検査し、ぜんそくを発症しやすいアレルギー体質かどうかを確認したうえで、健康状態の推移を追跡。幹線道路と自宅の距離や、対象者の生活実態、汚染状況のサンプル調査などから、一人一人が吸い込む汚染物質の量を推計し、健康状態とつき合わせて、排ガスの影響を評価する。【江口一】
毎日新聞 2005年4月27日 東京朝刊
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(http://www.mainichi-msn.co.jp/kagaku/env/news/20050427ddm003040019000c.html より)
ぜんそくと排ガスについては,4/25日の記事に書いた 「ディーゼル排ガスと健康」のシンポジウムでも発表された,嵯峨井勝先生(青森県立保健大学健康科学部教授)が,国立環境研におられたころから色々と研究されていて多くの論文がでている.
二酸化炭素濃度だけをみてもだめで,二酸化炭素とPMの相乗効果がはっきりと,ぜんそくを引き起こす引き金になっていることが判っている.
環境省の担当者は,まず,これまでに発表されている世の中の論文を,もう一度勉強すべきではないだろうか?
先の産経新聞の記事によると,環境省では,以下のように話しているらしい.
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「緻密に暴露量を算出し,継続して調査することで汚染物質がどのくらいぜんそくの発症の要因になっているのかを明確にしたい」
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その前に,すでに我が国で定められた環境基準が諸外国の最新の基準と比べてどうか?実際の幹線道路およびその周辺の大気汚染が,24時間365日どのように変動するか?(天候風向きも考慮して)などを,緻密に解析し直すべきではないだろうか?
実は,大気汚染のデータそのものは豊富にあるのだ.
せっかくの 「大気汚染物質広域監視システム」 からの24時間測定データがあるのだから,これを,気象,大気環境,呼吸器医療,小児科臨床,疫学等の学際的研究チームを組んで,継続的に研究すべきだと思う.
4/24のシンポジウムでの「酸性雨調査研究会/日本環境学会プロジェクトチーム」の東京の大気汚染についての発表もこのデータが用いられていた.
そうえば,山本英二先生(岡山理科大学総合情報学部教授)が,日本の環境関連の研究は「疫学的な視点が弱い」とおっしゃっていたなぁ...