ゆきめぐりあふを
まつらのかゞみに
はたれをかけつゝ
いのるとか
しる
為 時「お前にまた逢いたいと思いながら、亡くなったのだなあ」
まひろ「この歌を大切にいたします」

紫式部集
筑紫に肥前と云ふところより文おこせたるを、いとはる
かなる所にて見けり。その返りごとに
あひ見むとおもふこころはまつらなるかがみの神や空にみるらむ
かへし。又のとしもてきたり
ゆきめぐりあふをまつらのかがみにはたれをかけつつ祈るとかしる
備考
松浦の鏡の神 佐賀県唐津市鏡神社。松浦と待つの掛詞。
参考
源氏物語 玉鬘
下りて行く際に、歌詠ままほしかりければ、やや久しう思ひめぐらして、
君にもし心違はば松浦なる鏡の神をかけて誓はむ
「この和歌は、仕うまつりたりとなむ思ひ給ふる」
と、うち笑みたるも、世づかずうひ/\しや。あれにもあらねば、返しすべくも思はねど、娘どもに詠ますれど、
「まろは、ましてものも覚えず」とてゐたれば、いと久しきに思ひ侘びて、うち思ひけるまゝに、
年を経て祈る心の違ひなば鏡の神をつらしとや見む
とわなゝかし出でたるを、