長明発心集 第二 或る上人客人に値はざる事
或上人不値客人事 年來道心深して念佛をこたらぬ...
長明発心集 第二 橘大夫発願往生の事
橘大夫發願往生事 中比常磐橘大夫守助と云者ありけり。年八十二 あまりて佛法を知らず。斎日と云へども精進せず。法師 を...
長明発心集 第二 助重一声念佛に依つて往生の事
助重依一聲念佛往生事 承久の比前瀧口助重と云物ありけり。近江國蒲 生の郡の人也。盗人にあひて射ころされける間に其 箭の背にあたる時聲をあげて南無阿弥陀佛とたゝ 一...
長明発心集 第二 真浄房暫く天狗に作る事
真浄房暫作天狗事 近來鳥羽の僧正とてやむ事なき人をはしけり。其弟 子にて年來同宿したりける僧あり。名をば真浄房 とぞ云ける。往生を願心深くして師の僧正に聞へけ る...
長明発心集 第二 相真没の後袈裟を返す事
相真没後返袈裟事 津國の渡邊と云所にながらの別所と云寺あり。其に 近比暹俊と云僧有けり。若くては山に学問なむど してありけるが自らこゝに居つきたりける也...
長明発心集 第二 津国妙法寺楽西聖人の事
津國妙法寺樂西聖人事 津國和田の奧に妙法寺と云山寺あり。彼に樂西と 云聖人住けり。本は出雲國の人也。我身いまだ男 なりける時人の田...
長明発心集 第二 仙命上人の事 并覺尊上人事
仙命上人事 并覺尊上人事 近來山に仙命聖人とて貴き人ありけり。其勤め理 觀を肯として常に念佛をぞ申ける。有る時持佛 堂にて觀念する間に空に音ありて、あはれ貴き事を のみ...
長明発心集 第二 三河聖人寂照入唐往生の事
三河聖人寂照入唐往生事 參河の聖と云は大江定基と云博士是也。參河守 に成たりける時、もとの妻を捨て、たぐひなく覚へける 女を相具してくだりける程に、國にて女病を受てついに...
長明発心集 第二 内記入道寂心の事
内記入道寂心事 村上御代に内記入道寂心と云人ありけり。その かみ宮仕ける時より、心に佛道を堅願て事にふれて 哀み深くなん有ける。大内記にて註べきこと有て内へ ...
長明発心集 第二 禅林寺永観律師の事
禅林寺永観律師事 永観律師と云人ありけり。年來念佛の志深く名 利を思はず世捨たるが如くなりけれど、さすがに哀れに もつかまつりししる人をわすれざり...