これも医務課壕にある縦穴です。空気を取り込むために必要だったそうです。硫黄島の壕の縦穴には、このようにつる性の植物が垂れているのですが、米兵に発見されにくくするための工夫の名残であろうと言われています。壕の中の日本兵にとっては大事な縦穴ですが、発見された場合には、ここから銃撃されたり、硫黄島戦で実際にあったと言われる油を流しこまれての焼き討ちなどもされてしまうので、よほど巧妙に隠さないと非常に危険な場所になってしまう可能性がありました。
6月半ばの硫黄島は、相当な暑さになります。この医務課壕は、入ってから奥まで行くとサウナのような暑さになります。地熱による厚さです。戦争当時も今と同じ暑さであったのかは分かりませんが、長くいられるような場所ではありません。奥まで進んから戻ってきて、この写真の縦穴がある位置まで戻ると「やっと涼しくなった。」と安心します。それまで暑くてたまらかった外まで出るとまるで天国のように涼しいと感じます。