知的財産研究室

弁護士高橋淳のブロクです。最高裁HPに掲載される最新判例等の知財に関する話題を取り上げます。

塚原朋一「知財高裁における特許訴訟の審理充実化について」を読む

2011-03-07 09:02:55 | 特許侵害訴訟
塚原前知財高裁所長による論文です。弁論の実質化・活性化及び専門委員の関与のあり方が中心になっています。 全体には、率直に述べられているという印象を受けました。特に、技術の理解のために多大な時間を要したことや、理解した内容の記憶が持続しないことなど、僕も思い当たる部分があり、共感できました。 本論からはそれますが、機械の分野では、発明の課題認識が進歩性を基礎づける場合が殆どであると述べられていま . . . 本文を読む

水系ゲル化侵害訴訟

2011-01-26 21:56:04 | 特許侵害訴訟
平成20(ワ)14169:29部 請求棄却 属否論で決着がついたケースです。 「オレフィンー無水マレイン酸共重合体」という用語が、そのアンモニウム塩等を含むかが争点でした。 本判決は、①用語の一般的意義と②明細書の記載に照らしてこれを否定しました。①については、化学構造と水溶性の相違が根拠です。 併せて、本特許は、詳細は説明に実施可能な程度の記載がないという理由で無効審判により無効とされ . . . 本文を読む

技術的範囲の解釈と当てはめ

2011-01-26 12:55:15 | 特許侵害訴訟
技術的範囲の解釈と当てはめ    1 3ステップ及び侵害類型 1―1 3ステップ 属否論とは、特許発明の技術的範囲に対象製品が属するか否かという議論である。この判断は、以下の3ステップにより実施される。 ① 特許請求の範囲を構成要件に分説 ② 被告製品の構成の分説 ③ 対比   1-2 侵害類型 侵害類型は、まず、直接侵害と間接侵害に分かれる。間接 . . . 本文を読む

カプセルベンダー侵害

2011-01-22 18:10:24 | 特許侵害訴訟
平成18(ワ)474:市川裁判長 請求認容 特許権者がバンダイ、被告がエポックです。対象特許は、カプセル販売装置に関するものです。街でよく見かけるガチャポンですね。 以下、対象特許の請求項1にかかる発明(以下「本件発明」)に絞って解説します。 本件発明の課題は、収納ケース内の物品を取り換える際の面倒であり、解決手段は収納ケース自体を取り換えることを可能とする構造の採用です。 直感的には進 . . . 本文を読む

電話番号情報の自動作成装置侵害

2011-01-18 18:13:34 | 特許侵害訴訟
平成20(ネ)10065 原判決取り消し、請求認容 本判決は、本件発明にいう「接続信号中の応答メッセージ」の解釈について原審と異なる判断を下したものです。 原判決は、これを「可聴な情報」に限るとしましたが、本判決は、「接続信号」は可聴信号及び非可聴信号の上位概念であり、「応答メッセージ」も可聴信号に限られないと判断しました。 原判決は、「応答メッセージ」の意味に注目したのに対し、本判決は、 . . . 本文を読む

田村善之「逸失利益の推定覆滅後の相当実施料額賠償の可否」を読む

2011-01-17 11:09:23 | 特許侵害訴訟
冒頭、102条3項の損害概念の名称について、「相当実施料額」と呼ぶべきことが改めて提案されています。適切なネーミングと思います。これを「実施料相当額」と呼ぶこともありますが、これでは、ライセンス契約における実施料と同額のような印象を与えますから、妥当ではありません。 本題は、102条1項に基づく算定がなされた場合に、但し書きにより覆滅された部分に関し、別途、102条3項に基づく算定が可能か否かと . . . 本文を読む

フマキラー侵害訴訟

2011-01-17 10:49:27 | 特許侵害訴訟
平成20年(ワ)19402 請求棄却 携帯用害虫駆除装置についての発明の進歩性が否定されたものです。清水裁判長です。 引用発明として、乙13第2発明と乙14発明があり、①ア)両者は、殺虫剤を含む液体を、気化して一定領域に拡散させて虫を駆除又は忌避するという共通の技術的課題を有するものであり、また、イ)殺虫剤を含む液体を気化して拡散させる装置に関する発明という点で技術分野が共通していること、② . . . 本文を読む

進歩性の判断

2010-12-30 14:58:14 | 特許侵害訴訟
以前、知財ぷりずむに「進歩性の判断」という論文を書いたが、若干の反響しな無く一寸寂しかった。しかし、最新号のL&T(50号66頁)にて裁判官が引用してくれたのでゴキゲンになった。今後も進歩性の研究は続けます。当面は、最新知財判例についてコメントしていきます。 . . . 本文を読む

訂正の対抗主張

2010-12-30 13:27:24 | 特許侵害訴訟
特許権侵害訴訟において、被告から特許法104条の3の主張(無効の抗弁)がなされた場合、原告からクレームを訂正する旨の主張(対抗主張)がなされることがある。この対抗主張の要件事実的位置づけについて再抗弁説と請求原因説との対立があるが、私見は請求原因説である。 . . . 本文を読む

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