1 設立
仮装払込みについて、「会社資金を確保する意図の欠如」についてのガイドラインの必要性が指摘されている(66)。最低資本金制度が廃止されたことを考えると、資本金相当額が十分な弁済資力を有する発起人に対して貸し付けられた場合など実質的に見て債務超過にならないときには、「会社資金を確保する意図」があると考えて良い。
2 株式
105条2項の反対解釈として、完全無配当株式も認められるとの解釈 . . . 本文を読む
1 社外取締役
独立性ではなく、非従属性を問題にするのであれば、その機能が問われるとの批判がされています(131)。
2 会計監査人
会計監査人は監査役とセット(委員会設置会社を除く)にされていますが、会計監査人のみという制度設計を否定する理由はないとされています(212)。
3 自己資本の確保
最低資本金制度を廃止するのであれば、支配株主について責任を認める規定をおくべきであったとされ . . . 本文を読む
稲葉先生の会社法に対する熱い思いが伝わってきます。
以下、若干のコメント
1 譲渡制限株式
稲葉先生は、譲渡制限種類株式について、定款に規定がある限り、種類株主総会の決議は不要(199④、200④)とされていることについて、これまでの制度(譲渡制限株式について新株引き受権を保証)を特段の理由を示すことなく根幹から変更しているとして批判されます(43)。しかし、今般の会社法改正は、定款自治の範 . . . 本文を読む
137ページ以下では、株主総会活性化問題について言及されています。
そもそも、上場会社においては、大部分の株主は、投資目的の保有であり、そもそも会社経営に関心がない等との理由から、株主総会の活性化の必要性に疑問を呈されています。実態を踏まえた鋭い指摘です。
. . . 本文を読む
30ページ以下で、エージェンシー問題について言及がなされ、企業の法ルールの立法・解釈については、この問題について十分に意識されなければならないとされています。
52ページ以下では、ステークホルダー間の利益衝突の際の優先順位を決定する法ルール(調整原理)として、経営者の経営決定の指針となるのは株主利益最大化原則であるとされています。もとより、これは絶対的な原則ではなく、他の法令の要請がある場合には . . . 本文を読む
まず、はしがきからしびれます。
落合先生は、会社法は、効率性と公正性の確保という2大目的を達成するのにふさわしい法規範の体系でなければならないと述べられています。「効率性」は、「新たな富をわれわれの社会にもたらす」という意味であり、それが営利社団法人としての会社の存在意義とされます。「富」は、経済論壇における「国富論」の復権と呼応するところがあるように思われます。
効率性の確保については、会社 . . . 本文を読む
本論文は、会社法において、株式買取請求権の果たすべき役割が変更されたことを論じている。
本論文によれば、その根拠は、買取請求権の文言と趣旨の変更であり、本論文は、その趣旨が、価格の決定において、従来の「ナカリセバ基準」においては考慮されなかった「シナジーの配分」という要素を取り込むことにある以上、買取請求権は、裁判所による企業再編のレビューとあるべき企業再編条件の再設定という性格を持つと述べる。 . . . 本文を読む
本論文は、少数株主である経営者が第三者割当による新株発行を利用することにより会社支配権を簒奪するケースにおける法的問題を指摘財産権の保護というより一般的な視点から論じるものである。
本論文は、まず、平成9年最高裁判決により、平成6年最高裁判決が事実上変更されたと理解した上で、会社支配権争奪ケースにおいて、新株発行が無効になるか否かの分水嶺を「支配株主が新株発行の差止めの機会を実質的に奪われていた . . . 本文を読む
計算の開示については、全ての株式会社(特例有限会社を除く)が、貸借対照表(大会社の場合は損益計算書も)またはその要旨を広告すべきとされている(440条)。
しかし、旧商法下において、同趣旨の規定が形骸化していたのは、周知の事実である。これを防止するため、同条違反の効果をみなし計算規定に結びつける、登記所において計算書類を開示する、等の規定が置かれるべきではなかったか。ウエブ開示について負担の軽い . . . 本文を読む
取締役会は、原則的な業務執行決定機関である(362条、416条)。
取締役会は監査役とセットになるが、監査役の代わりに会計参与を置くこともできる。また、監査役の権限を会計監査に限定することができるが、この点が登記事項ではないのは謎である。
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監査役は、取締役の不正・違法な行為を発見した場合、取締役に報告義務がある(382条)。
しかし、この規定は、取締役が1名の場合にはワークしないのではないか。この場合には、株主に対する報告義務が生じると解するべきである。
会社法においては、剰余金の配当と自己株式取得の財源規制を横断的なものとしている。
剰余金の計算は、441条に規定されており、これを前提として、分配可能額が、461条2項に規定 . . . 本文を読む
会社の必置の機関は、株主総会と取締役である(326条)。
その他の機関は、その設置が義務づけられている場合も、定款の定めが必要となる(同条2項)。法律上義務づけられているものに何故に定款変更が必要なのかは不明である。
監査役設置会社という概念があるが、ここにいう「監査役」には、会計監査の権限のみを有する監査役が含まれたり、含まれなかったりする。さらに、監査役の権限に会計監査以外のものが含まれる . . . 本文を読む
会社法において、「株主総会決議による」という場合、それが普通決議なのか特別決議なのかは、309条を見ないと分からない。逆に言えば、309条を見れば一目瞭然ともいえるが、他方、定款変更の手続き等についての特則は、個々の制度の近くに置かれている(110条から114条など)。
会社法は、全般として、準用規定を避けるという方針で規定されているが、徹底されていない(325条等)。それ自体はやむを得ないかも . . . 本文を読む
会社法は、公開会社という概念を準備している。公開会社とは株式の譲渡制限の定めがない会社である。公開会社以外の会社を、便宜上、譲渡制限会社と呼ぶことにする。
会社法は、譲渡制限がない株式を原則としつつ(127条)、他方、譲渡制限会社を株式会社の基本形と考えているようであり(295条)、謎である。
. . . 本文を読む
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