4月12日のNHK―TV「生活ほっとモーニング」で、「非正規雇用」問題を特集した番組が放映されました。
最初に取上げられた事例は、25年間に亘り派遣現場を転々としてきた50代の女性です。
今は派遣先も決まらず貯金も全く無い状況で、残り少ない先月分の給料を使い切りそうという悲惨な状況を語っていました。
ゲストの金子勝氏(慶應義塾大学・経済学部教授)は、「若い人々の半数が非正規雇用だが、この方の生活実態は、これら若い人々の将来を示している」と述べました。
コメンテイターの鴨桃代さん(全国コミュニティ・ユニオン連合会会長)は「女性の派遣は暗黙の35歳定年と言われており、35を過ぎると極端に派遣先の紹介が減る」と実態を告発。
次に取上げられたのがトヨタの下請け光洋シーリングテクノの実態でした。
派遣か請負かを問う偽装請負の問題点が具体的に取上げられ、JMIU(全日本金属情報機器労働組合)徳島地域支部の仲村、黒坂、矢部さんが出演して職場の厳しい状況を訴えていました。
労働組合の闘いを取り上げたのは、NHKとしては画期的でした。
現在、JMIUは当該地域の労働局に訴えていますが、対応は生温い印象でした。
金子勝氏は、「労働局自身が法律を知らないんではないか」と労働局の対応を暗に批判し、国の姿勢が問われているという趣旨のコメントをされました。
特に「派遣先で1年以上経てば、派遣先企業は正規雇用を提案しなければならない」という法律を知らずに雇い止めに会っている人が多いのではないか」と強調されていました。
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内多キャスターは「現場を支えている人たちの生活が成り立つような解決が望まれる」という趣旨の発言を何度も繰り返していました。
番組では「国立情報学研究所」で14年間働いた女性が、「非常勤職員」としての更新停止に納得できず地位確認を求めた裁判での地裁判決を取上げ、 同様の裁判で全国で初めて原告の訴えが認められたケースとして紹介していました。
「任用を打ち切られた職員にとっては、明日からの生活があるのであって、道具を取り替えるのとは訳が違うのである。・・・本件任用更新拒絶は、著しく正義に反し社会通念上是認しえないというべきであって」との判決文の一節も取上げられました。
コメンテイターの鴨桃代さんは「非正規労働者は物品費の費目で支出されるなど人間扱いされていない」と、使い捨て労働を厳しく批判。
さらに契約社員の実情について、3ヶ月以下の契約を繰り返している契約社員が全体の66%(3人に2人)。
これを6ヶ月まで伸ばすと契約社員の88%にもなり、契約社員のほとんどが長くても6ヶ月しか仕事が保障されていない不安定労働者であることを静かに告発しました。
1年間以上の契約を続ける労働者は殆どおらず、何時打ち止めにされるか解らない短期間の契約を何度も何度も更新し続けなければならないのです。
金子勝氏は「労働者の使い捨て社会は異常である。そしてこれが特殊な事例ではなく、3割以上の人たちがこういう働かされ方をしている。息子や娘や親戚に必ず非正規雇用者が居る時代だ。 経済のグローバルスタンダードばかりが強調されているが、日本はILOの該当する条約にも批准していないなど、労働面ではグローバルスタンダードからかけ離れている」と強調されました。
内多キャスターは、「NHKにもこういう非正規の人たちが大勢働いている」とNHK自らの問題としてとらえ「こういう状況は絶対に避けて欲しい」と力強く締めくくりました。他人事的報道姿勢が多かったNHKとしては大胆な発言だったと思います。
NHK現場労働者の良心を示した番組でした。
早速、NHKホームページから激励のメッセージを送りましたが、400字までの制限があり、言いたい事のほんの一部しか伝えられませんでした。
なお、上記に紹介した発言は聞き覚えにつき正確ではありません。
どなたかビデオを撮った方いらっしゃいませんか?