少子化対策が急務だと言われているのに、こともあろうに生活協同組合の病院で
妊婦(妊娠した職員)の差別が公然と行われていたと云う前時代的犯罪行為!
これを合法と認定した地裁や高裁の判断は、「男女雇用機会均等法」の趣旨を
理解していない、おぞましい判決であったが、ようやく最高裁で判断が『糾され』
高裁に差し戻された。
何故、最高裁で妊婦差別を断罪する確定判決を出さずに高裁に差し戻したのかは
解らないが、前向きに解釈すれば、高裁が前時代的な考えを改めるように促した
とも考えられる。 しかし、これは素人考えであるので真相は不明!
毎日新聞の記事を一部引用すると以下の通り。
【広島市の女性が、勤務先だった病院を運営する広島中央保健生活協同組合に
賠償を求めた。
小法廷は「負担軽減のための配置転換を契機としていても、降格は原則違法」
と指摘。適法となるのは「本人の自由な意思に基づいて承諾したと認められるか、
降格させなければ適正配置の確保ができず業務上の支障が生じるような
特段の事情がある場合」に限られるとした。】
女性が妊娠するのは少子化対策ではなく、人類の、もっと広く言えば地球生命の
維持の根幹である訳で、狭く言えば家系を維持するためにも不可欠なものである。
全ての女性が子どもを生むことが困難になれば、次代を維持する人々が
居なくなる訳であり、社会生活や社会経済が維持できなくなる訳である。
女性が妊娠したからと言って、社会経済活動から排除してゆけば世の中は
成り立たないのである。
曲がりなりにも(と言うのは相当のザル法なので)「男女雇用機会均等法」が
制定されてから何十年も経つのに、こんな妊婦差別がまかり通っていたことが
驚きである。
その上、【ひとりはみんなのために!みんなはひとりのために!】
をキャッチフレーズにしている生活協同組合が運営する病院で行われた
ことに唖然とせざるを得ない!
いわゆる『ブラック企業』での出来事ではないのである。
そして、新聞の解説などを見ると、泣き寝入りさせられている女性は
枚挙にいとまがないほど多数に及ぶらしい!
【厚生労働省によると国には昨年度「妊娠や出産で不利益を被った」
「母体の健康が配慮されなかった」などの相談が3371件寄せられた。
この数年は3000件前後で推移している。
マタハラ問題に取り組む連合非正規労働センターの村上陽子・総合局長は
「手を挙げられないマタハラ被害者は他にも多数いる」とみる。】
(毎日新聞 10/24)
日本の職場はどうなっているのか!
マタハラ訴訟:妊娠降格「原則違法」 最高裁が初判断
毎日新聞 - 2014年10月24日 東京朝刊
マタハラ訴訟:「次世代にバトン」 安定して働ける環境に
毎日新聞 - 2014年10月24日 東京朝刊
妊娠をきっかけに解雇!? 「マタニティ・ハラスメント」を受けたらどうすればいい?
弁護士ドットコムニュース - 2014年10月20日(月)10:05
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以上、西日本新聞記事から 写メ添付。
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マタハラ訴訟:妊娠降格「原則違法」 最高裁が初判断
毎日新聞 - 2014年10月24日 東京朝刊
妊娠した女性が勤務先で受けた降格処分が、男女雇用機会均等法に違反するかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(桜井龍子裁判長)は23日、「本人の承諾がないような降格は原則として均等法に違反する」との初判断を示した。その上で女性側敗訴とした2審・広島高裁判決を破棄、審理を高裁に差し戻した。女性側が逆転勝訴する公算が大きい。
妊娠や出産を理由にした女性への差別は「マタニティーハラスメント」と呼ばれる。均等法もこうした女性への不利益な扱いを禁じているが、具体的にどのような場合に違法となるかの判断枠組みを最高裁が示すのは初めてで、企業に問題解消への取り組みを促すことになりそうだ。裁判官5人全員一致の意見。
広島市の女性が、勤務先だった病院を運営する広島中央保健生活協同組合に賠償を求めた。小法廷は「負担軽減のための配置転換を契機としていても、降格は原則違法」と指摘。適法となるのは「本人の自由な意思に基づいて承諾したと認められるか、降格させなければ適正配置の確保ができず業務上の支障が生じるような特段の事情がある場合」に限られるとした。
そのうえで「女性は管理職の地位と手当を喪失しており、降格を承諾したと認める理由はない」と判断。降格の業務上の必要性を巡る審理が不十分とした。
1、2審判決によると、女性は理学療法士として病院で約10年勤務し、2004年に管理職の副主任に就任。08年に第2子を妊娠後、配置転換を求めたところ、異動先で副主任の地位を降ろされた。【川名壮志】
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■解説
◇人事上のルール、企業は作成急務
男女雇用機会均等法は2006年の改正で、従来の解雇に加え、出産や育児を機にした女性への「不利益な扱い」を企業に禁じた。最高裁判決はこの点に初めて踏み込み、不利益な扱いが違法とならない例外を厳しく限定した。女性が子育てしながら働くことが当たり前になる中、本人の同意に着目した意義は大きく、企業に重い義務を課したといえる。
例外となる事情について判決は(1)女性が自由な意思に基づいて承諾したと認められる場合(2)円滑な業務運営や人員の適正確保の面から支障が出るなど、「特段の事情」がある場合−−の2点に制限。(2)についても女性が受ける不利な影響の程度や、本人の意向も踏まえて判断されるべきだとした。例外が認められるケースは少ないとみられる。
1986年に均等法が施行されて四半世紀が過ぎた。だが差別行為に罰則がないこともあり、特に中小・零細企業では女性が差別に泣き寝入りし、退職を余儀なくされるケースも多いとされる。企業側は男女平等の再確認だけでなく、働く女性が納得できる明確な人事上のルール作りを急ぐべきだろう。【川名壮志】
マタハラ訴訟:「次世代にバトン」 安定して働ける環境に
毎日新聞 - 2014年10月24日 東京朝刊
妊娠を理由とした降格を原則違法とした23日の最高裁判決は、マタニティーハラスメントの被害を受けながら泣き寝入りしていた女性たちも待ち望んでいたものだった。女性が長く安定して働ける環境作りを後押しした形で、専門家からは企業の意識改革につながると声が上がった。
「仕事と妊娠の両方を取るのは欲張り。君だけ特別扱いできない」。川崎市の小酒部(おさかべ)さやかさん(37)は、中規模企業に勤めていた36歳の時に妊娠し、上司に勤務時間の短縮を要望した際に言われた言葉が忘れられない。
2度目の妊娠だった。1度目は仕事への責任感から会社に告げず、終電まで働いた。妊娠が分かった7週後に流産し、双子の命を失った。「子供を大事にしなかった天罰だった」。後悔の念が頭にこびりつき、2度目は勇気を振り絞ったが、会社の返答は「ノー」。退職を勧められた。我慢して仕事を続け、再び流産。その後、会社を辞めた。
会社の対応が、男女雇用機会均等法に反することを後に知った。「専業主婦をするのも、仕事を続けるのも自由のはず。価値観が多様化しているのに周りと違う生き方を排除する世の中はおかしい」。今年7月、妊娠や育児と仕事を両立する女性の権利を守る「マタハラNet」を設立。同様の被害を受けた女性たちで集まり、苦しみをぶつけ合いつつ、法を学んでいる。
この日、小酒部さんは仲間と集まり、判決を拍手で歓迎した。「妊娠、出産で仕事を奪われる時代であってほしくない。(判決は次世代の女性に)より良いバトンを渡す大きな一歩になった」と喜んだ。【川名壮志、山本将克】
◇「妊娠巡る降格、基準示された」 原告代理人
最高裁の判決を受けて、原告代理人の下中奈美弁護士らが23日、広島市で記者会見し、「妊娠を契機とする降格について基準が示された」と評価した。広島市に住む原告の女性は弁護士を通じて「安心して子を産み、育てながら、働きがいのある仕事が続けられるように、判決が役立ってほしい」とのコメントを出した。
下中弁護士によると、女性は判決を聞き、「うれしいです」と笑顔を見せたという。女性はコメントで「妊娠をきっかけにした処分でこれまで何度も憤り、傷つき、悔しい思いをしてきた。諦めず声を上げてよかった」と喜んだ。【石川裕士】
◇昨年度の相談3371件
厚生労働省によると、国には昨年度「妊娠や出産で不利益を被った」「母体の健康が配慮されなかった」などの相談が3371件寄せられた。この数年は3000件前後で推移している。
この数字はセクハラ(昨年度6183件)のほぼ半分だが、マタハラ問題に取り組む連合非正規労働センターの村上陽子・総合局長は「手を挙げられないマタハラ被害者は他にも多数いる」とみる。センターが昨年実施した意識調査でも、マタハラ被害を受けた女性の45・7%が「我慢した。人には相談しなかった」と回答。相談者からは「子供のことに集中しているので、闘うことを諦めた」などの声が寄せられているという。
法政大キャリアデザイン学部の武石恵美子教授(人的資源管理論)は「妊娠や出産を契機にした降格は、これまで雇う側の裁量に委ねられブラックボックス化していた」と指摘。
「最高裁がこうした降格を原則禁止としたことで、企業側には今後、徹底した話し合いの中で女性が望むキャリアの在り方を決定していくことが求められる。女性が働く環境整備が前進するきっかけになるのでは」と話す。【山本将克】
妊娠をきっかけに解雇!? 「マタニティ・ハラスメント」を受けたらどうすればいい?
弁護士ドットコムニュース - 2014年10月20日(月)10:05
「少子化対策」が叫ばれて久しいが、残念ながら妊娠・出産に理解がない職場も、まだまだ少なくないようだ。東京医科大の元研究員の女性が、産前産後休暇を取得後、不当に解雇させられたとして、大学側を提訴したことが9月に報道され、話題となった。
河北新報によると、女性は、昨年11月から産前産後休暇を取得した。大学側は2014年3月、「教室運営に協力しなかった」などとして解雇を言い渡してきたという。女性は、これを妊娠や出産を理由とした職場での嫌がらせ、いわゆる「マタニティ・ハラスメント」にあたると主張。大学側に研究員としての地位確認や給与の支払いなどを求め、盛岡地裁に提訴したのだ。
裁判とまではいかないまでも、職場で「マタニティ・ハラスメント」を受けたら、どう対応すればよいのだろうか。女性の権利問題にくわしい高木由美子弁護士に聞いた。
●マタハラは「企業にとっても大きな損失」
「会社は、産前産後休業中とその後30日間は、どのような理由があっても女性労働者を解雇することができません。これは、労働基準法に記されたルールです。
さらに、『男女雇用機会均等法』によって、妊娠・出産・産休取得を理由とした解雇や、雇い止めが禁止されています。妊娠・出産で『それ以前の働き方ができなくなった』といったことを理由として、不利益に扱うことも、同法で禁止されています。
これらのルールは、女性従業員が契約社員であっても、パート社員であっても適用されます」
厳格なルールがある――
にもかかわらず、トラブルが起きるのはなぜなのだろうか?
「勤務先の認識不足が、大きな要因のひとつでしょう。妊娠や出産を契機に6割の女性が退職すると言われています。その中には、もちろん、『出産・育児に専念したい』と希望して退職する女性もいるでしょう。しかし、勤務先の認識不足で、退職を余儀なくされた女性も多いと思います」
育児中の女性が、出産前と同じ働きをするのは難しいという話もあるが・・・。
「たしかに出産後は、出産前と同じ時間勤務することは難しいです。しかし、勤務時間が減ったとしても、短い時間に集中して仕事をして、出産前より仕事がはかどる例もたくさんあります。
ですから、妊娠や出産を理由に女性を不利益に扱い、退職に導くことは、企業にとっても大きな損失といえるでしょう」
●「育児しながらの勤務は、職場の協力が不可欠」
職場で「マタハラ」をうけたら、具体的にどういったアクションを起こせばよいだろう。
「妊娠出産を理由に退職勧告されたり、正社員からパート社員へなどの格下げを示唆されたようなケースでは、勤務先がこのような女性保護の法律を知らないことが疑われます。
会社の要求をすぐに受け入れてしまうのではなく、きちんと主張し、法律に沿った対応を会社に求めていくべきです。
もっとも、出産後、育児をしながらの勤務は、職場の上司や同僚の協力が不可欠です。日頃から職場での信頼を築いていくことが大切といえるでしょう」
高木弁護士はこのように指摘していた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
高木 由美子(たかぎ・ゆみこ)弁護士
第一東京弁護士会所属弁護士。米国・カリフォルニア州弁護士
事務所名:さつき法律事務所
事務所URL:http://www.satsukilaw.com/
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