醸楽庵(じょうらくあん)だより 

主に芭蕉の俳句、紀行文の鑑賞、お酒、蔵元の話、政治、社会問題、短編小説、文学批評など

醸楽庵だより   1093号   白井一道

2019-06-13 15:10:41 | 随筆・小説




  菊の香や庭に切れたる履の底    芭蕉 元禄六年



 「元禄辛酉之初冬九日、素堂菊園之遊
 重陽の宴を神無月の今日に設け侍る事は、その頃は花いまだ芽ぐみもやらず、「菊花ひらく時即ち重陽」といへる心により、かつは展重陽(てんちょうよう)のためしなきにしもあらねば、なほ秋菊を詠じて人々を勧められける事になりぬ」と前詞を付け、この句を詠んでいる。
 芭蕉は元禄六年の初冬九日、素堂邸の菊園に招かれた。元禄六年は辛酉(しんゆう・かのととり)ではなく、癸酉(きゆう・みずのととり)であった。重陽の宴とは、杯に菊花を浮かべた酒を酌みかわし、長寿を祝う宴である。
 俳諧の友、素堂邸に招かれた芭蕉は庭に履き捨てられた草鞋に俳諧を発見した。
 

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