佐々岡監督の就任3年目のシーズンは、中継ぎ陣の整備とメジャーに移籍した鈴木誠の穴を埋める選手の発掘という開幕前挙げられていた投打の大きな課題を解消することができず、前半戦に奮闘するも、後半戦は前半戦の無理がたたって失速してしまい、最後は阪神、巨人との三つ巴のAクラス争いから脱落して、66勝74敗3分けの5位に終わってしまいました。
チームとしては、開幕から大瀬良、森下、床田らの先発陣が好調で不安定な中継ぎ陣をカバーすると、打線も繋ぎの攻撃が機能して得点を重ね、開幕から6連勝スタートを決めて開幕ダッシュに成功しました。しかし、鬼門の交流戦はエース大瀬良が不調により、打線の軸となっていた西川が負傷により登録抹消されるなど、歯車が噛み合わず5勝13敗の最下位となってしまいました。
それでも、6月下旬にはメジャーから日本復帰した秋山の獲得に成功し、7月には1軍に昇格して得点力不足解消への期待が膨らみ、大瀬良も1軍復帰するなど、チームが浮上する気配を感じられ、一時は貯金1まで持ち直すなど、踏ん張って5割の2位タイで前半戦を終えました。
後半戦での巻き返しに期待が高まりましたが、後半戦は6連敗スタートで波に乗り損ねると、ローテの柱として奮投していた床田が負傷離脱し、大瀬良も不調により再び登録抹消とチーム最大の強みであった先発陣が崩壊しました。さらに追い打ちをかけるようにチームをコロナ禍が襲って主力が離脱する苦境に陥ってしまい、一気に借金が膨らんで下位に低迷してしまい、そのまま浮上できませんでした。それでも、シーズン終盤に3位阪神が失速したことで、阪神、巨人、カープの3球団がゲーム差無しで並ぶという熾烈な3位争いとなりましたが、ここでもチームは踏ん張ることができず、あっさりと3位争いから離脱してしまい5位に終わりました。
今季は収穫の少ないシーズンとなってしまいました。投手では床田が先発の柱となりローテを支え、矢崎は勝ちパターンの継投入りして栗林に繋ぐ8回を任せられるようになったことでしょう。
床田は故障により後半戦を棒に振ってしまいましたが、来季は万全の状態で迎えられれば、ローテの柱として計算できる投球ができるはずです。また、矢崎は今季は1シーズン通して安定した投球ができていたので、来季に向けての不安は無いと思います。
野手では坂倉が全試合出場して中軸を任せられるようになったことですが、出場のほとんどが3塁であり、来季は本人の希望と新井監督の方針により捕手に専念するため、今季のように全試合スタメンでの出場は難しいと思われることは大きな不安要素となっています。
坂倉がベンチスタートとなることによる攻撃力低下に関しては、新外国人のデビッドソンを獲得しているので、不確定要素が多いですが、自慢の長打力を発揮してくれることを期待したいですね。
シーズン終了後にはチーム成績不振の責任を取って佐々岡監督が辞任すると、球団は新監督して新井氏を招へいするという驚きの人事を発表しました。さらにコーチ陣も藤井ヘッド、新井良2軍打撃コーチ、福地打撃・走塁コーチを外部から招へいして大胆なチーム改革に乗り出しました。
この首脳陣の刷新効果は、早速、秋季キャンプに表れて、伸び悩んでいる若手選手の意識改革やモチベーションアップに成功し、チームを覆っていた重苦しい雰囲気を払拭することに成功するとともに、チームを家族に例えて選手を鼓舞して、チームを一つにまとめることができました。
今のカープは若手選手が伸び悩み、3連覇した時代の主力から次世代の選手への世代交代ができていないことが、低迷の最大の要因となっていることから、新井監督には若手育成への期待が掛かりますが、現段階では順調にチーム作りが進んでいると感じます。
2月からの春季キャンプからが本当の意味でのスタートとなります。ここで秋季キャンプと同様に若手の成長を促し、チームの世代交代を進められれば、来季のチームは期待できると思います。
とはいえ、まだ新井監督1年目であり、チームの改革は始まったばかりであることから、直ぐに結果を出すのは難しいので、過度な期待をしてはいけないと思っています。来季はまずはチーム作りを進めて世代交代を促し、2年目又は3年目のリーグ優勝、そして日本一という悲願達成に向けての期待が膨らむ1年になってほしいですね。
本年も1年間お付き合いいただきましてありがとうございました。皆様も良いお年をお迎えください。