ウォーホール左派

今日も作詩、明日もまた、本格詩人のブログ。

羊歯の夢

2011-08-11 09:04:31 | Weblog
灼熱の太陽が
地上を焼き始めている

窓という窓
戸という戸を
閉ざして

太陽光が射さない
暗い部屋で
一人スタンドの明かりの中

日陰に育つ羊歯のように
冷えた樹液に包まれて
太古からの夢を織ろう

葉裏の胞子は
精子のように溢れ出て
空中に飛び出して
重い大気を白濁するから

暗い部屋で私の幻は
生い茂る群生の羊歯になる
(増えよ満てよ)

湿り気のある大気が
胞子を飛び立たせて
この地球にまた
白い夢を一つ増やす

そんな風にして
太陽光の射さぬ場所に
ジャングルの夢は
はびこり始める

夏の太陽の届かぬ部屋で
羊歯の夢を見る私に

クーラーの風がそよぐ
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太陽神

2011-08-10 16:03:46 | Weblog
巣食っている
退廃の排熱を

清い太陽神が
今 焼き尽くすから

太陽フレアの夏は
熱気を帯びて過ぎてゆく

ねえ 君
我々なら出来るさ
清涼な太陽風の中
約束どおり

個々人の幸せや
世界の平和を
願い 維持できる事を

太陽神が
今年は特に
腐れ退廃を焼き尽くすよ

予言された
黄金時代の記憶が蘇る

君と僕が
そこの初めての住人

さあ 言葉の力で
世界を照らそう

だって
アポロ像が
光に映えて

緑を慈しむから
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鄙びた村で

2011-08-09 10:19:12 | Weblog
鳥たちが歌い止まぬ
山を背にした村

地図を広げて
明日の行方を占う

仏のような顔をして
眉間から光波を発する

行じている
日本という国で

各々が自らの位置をとって
密かに努力しているから

明日はきっと晴れるさ

夢を追いかける
まるで恋人を追うように

ちらりと見て 過ぎ去る

始まりはいつも
華やいでいるから

鳥たちがうるさいほどの寒村で
山の気を吸いこんで

世界の向かって
見渡せる位置をとったなら

恋や出会いのように
ワクワクしながら

地図を開いている

日本は
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真心の良薬

2011-08-08 17:15:18 | Weblog
発熱をして
床に伏せっていた時
母が医者の薬を
オブラートで丁寧に包み
飲ませてくれた


真心が
地球を包むよ

母のオブラートが
地球の民草に
真心の良薬を与えた


夏らしく
スカッと抜けた暑さに
皆 やられてる
冷たいものが欲しい


夕刻には
冷性の食事と
ほど良いクラー


地球は発熱した 僕の口に
良薬を与えてくれる


真心の
贈り物

若者よ
おもむろに
夢を語って良いんだぜ

誰にも邪魔させないから

寝床に母の良薬が準備されて

真心のオブラートに包まれている
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手帖

2011-08-08 08:45:04 | Weblog
密かに言葉を
選んでいる手帖に

晴れ晴れとした
夏を潮騒を挟み込んで
テーブルに置いてある

息もしていない静物らのお喋り

手帖に四色ボールペンで書き連ねると
外部メモリーとなって
個人史を書き残す


海が美しく見えた日に
砂浜の足跡は
波に消えて
留められぬ

海辺の過ぎた時を
手帖は静かに聴く


心が動いた

書き留めて
海を閉じ込める

帰宅して
ゆっくりと手帖を開くと

海の香りのする
文字は太陽の輝きを保っている
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母に祈る

2011-08-05 16:14:17 | Weblog
肌を濡らす
ジットリした大気

母の豊饒の胸に抱かれて
まどろむ赤子のよう

重々しく きめ細かく
私を包む

母の無償の湿り気のような
大気

湿気 うねって
大地を 滑る
スケーターの速さ 機敏さ
湿気の重厚な構造物

御堂の歌は 低く響き

母が私を抱いて
蝋燭に火を点して
一礼

祈りよ

肌を滑る湿気に
祈りの焔は灯される
散華の花弁の輝きは

灰の大地に
色めく


肌を嘗める
湿気

母に祈る
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大地の声と君

2011-08-05 09:19:01 | Weblog
聴こえる
私は私を 息している
息吹を
この大地が吹き込む


聴こえる
地球が大きく大きく
息してるのが

太極拳の演武ように
呼吸を合わす


この大地に 接吻する
願わくば 花を育てて

夢の水を与えて 花咲く


世界はどこもかしこも青く

遥かに遠ざかる

この空 この雲が
語っている声を
君は聴くか

必要があって
この世にある事を


太陽は昇り 沈み
一人の孤児の声を聴く


花を育てるように
大地を慈しみ
君を見てる

太陽に祈った
その成長

聴こえる
大地の声と君
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自由の都

2011-08-04 18:42:45 | Weblog
大きく窓
開け放ち
変動期の地球を
眼を瞑って感じる


自由の扉は向かい側
姿見の隣 己を通過して
己を見る 鏡面界
自由都市が見えて


街へ行こう
バックに夏の文庫本
スタンドコーヒーに陣取って

本に書き込む

疑問/閃き/言葉の宝/


窓から見ている自由都市は夕焼けて
私はメモで希望を語ってる

海や河原 図書館の書物を持って
木陰はすぐに閲覧室
スポーツドリンク飲み干して
ボトルの端に永遠が見える


自由の扉は胸の中
心の直き言葉を
吹き抜ける風のように並べたて

行き着く

微笑みの


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アフリカ幻想

2011-08-04 08:51:42 | Weblog
ふーっと意識が途切れる
一方向に入っていって
存在が絞り出された声が流れ
磯の匂いの薫り立つ


濃密な感情のやり取り

その声は

眼の高さを流れていて
聴き入る者の潤んだ瞳を射とる


汗のポタポタ垂れ来る
くねるベースラインに
体が浮くように従ったなら


彼らは私を虜にして

連れてゆく

幻で見た

北アフリカの海岸線へ


乾いた風に歌うニグロのなめした肌
大げさな身ぶりで囃したて


誘う


古代のままの地中海や

聖書の奇蹟が起り続けた 街

あの砂漠の只中の都市へと
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ある廃線の夕暮れ

2011-08-03 17:17:43 | Weblog
草むした
レールの影が寂しい
雑草のまばら
追憶の風の吹いて


朽ちはじめた枕木に
曇天の光が所在なく射し
男たちの歓声は
幻聴の中


置き去りにされた思い出は
虫すだく静かな午後に
立ち上る陽炎


この引き込み線の先
かつて在った夢が
工場の寂れた夕暮れを追慕した
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アンビエント B・ENO

2011-08-03 08:29:52 | Weblog
机の上や食器の縁に
微量に積もった塵が
このピアノの音波で
払われ落ちてゆく
サイキック


B・ENOの頭脳コンデンサーを
通過した音は
透明なカットガラスの輝きで
甘味に空間に染みいるから


夢想へ落ちようとする
一瞬 一瞬を
表裏一体のメビウスとする


ピアノの音塊が溶けだす
朝の勤行を終えた空間が
淡い感情エーテルの囁きで
満たされて散華の渦


まるで水中に咲く
蓮は輝く

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推敲 鴉で国を占う

2011-08-02 16:20:57 | Weblog
クマゼミ鳴く山道
青竹が一節
伸び伸びと
天を衝く


竹林の風を
仙人が受けて微笑む
閑散とした道
雑草の上の蟷螂


ざわめく心に
あの見晴らし台まで
あと一息


山村を見そめて
国の行く末を占う
ふと渡り鴉の影添う道
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鴉で国を占う

2011-08-02 09:55:36 | Weblog
クマゼミ鳴く山道
青竹が一節
伸び伸びと
天を衝く


竹林の風を
仙人が受けて微笑む
閑散とした道
雑草の上の蟷螂


ざわめく心に
あの見晴らし台まで
あと一息


山村を見下して
国の行く末を占う
ふと渡り鴉の影添う道
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