ウォーホール左派

今日も作詩、明日もまた、本格詩人のブログ。

「戦後詩によるメーソン殲滅作戦」(那珂太郎)

2016-11-18 11:10:05 | Weblog
黒い水母(那珂太郎)全文

どろどろどろどろどろどろどろどろ
葬列の太鼓の響きよりものうく
老い朽ちた陸橋を渡ってゆく
跫音(あしおと)のかげ
黄昏のレントゲン線に透けてみえる
黒い水母のむれ
びれびれと触手そよがす海藻の間をぬって
どこまでそれは流れて行くか
海底にくらく蹲(うずくま)る
煉瓦の巨体の雁首から
無意味な煙はたえずきな臭く立ちのぼる
それは屍を焼く火葬場ではない
無期徒刑囚の
牢獄でもない
しかしそこから吐き出されるのは
口の縫いふさがったやつ
眼玉を刳りぬかれたやつ
手足の関節を外されてぶらんぶらんさせてるやつ
垂れこめた雨に朦朧とけぶる
それから歪曲された 畸形の生物
やぶれた皮膚に紫の血をにじませ
黄い蛔虫(かいちゅう)を尻からたらして
へんに透明な 揺れうごくうどんこの
臓腑
に詰まった古い記憶ーー
不滅の真理
自由

それは腐って屍体にひとしい悪臭をはなつ

醜怪な文明のメカニズムの中から吐き出された
メタンガスの暖気のような 気泡のような
黒い水母たち
彼等は向かうべき方向をしらない
行きつくべき目当てをもたない
かなしい
盲の
実存よ

砕かれた時間の夜光虫きらめく
焦げ残りの肋骨
ひん曲った鉄柱の錆びた傷口
をひざらして注ぐ雨


西北の空を稲妻が引き裂けば
映し出されたアスファルトの背筋のうねりに
白濁の膿汁と
赤黒い血液と
互いに交ざらぬニすじの流れ
その無気味な電流のエスカレーターにのって
意志もなく彼等はどこへ漂うーー
虚妄の明日の希みを灯す
贋造ダイヤの光ゆらく街区の方へ?

ああ 陰湿なこの国の梅雨季のなかを
萎えた手足は右にゆれ 左にゆれ
眼もない
口もない
喪神のパラシュートのむれはただただ沈降して行く

*「戦後詩によるメーソン殲滅作戦」

「黒い水母」「戦後詩によるメーソン殲滅作戦」

2016-11-17 20:17:39 | Weblog
黒い水母(那珂太郎)

<前略>
西北の空を稲妻が引き裂けば
映し出されたアスファルトの背筋のうねりに
白濁の膿汁と
赤黒い血液と
互いに交ざらぬ二すじの流れ
その無気味な電流のエスカレーターにのって
意志もなく彼らはどこへ漂う
<後略>

*「戦後詩によるメーソン殲滅作戦」
*明日、「黒い水母」の全文を載せるつもりです。

黒い水母(那珂太郎詩集)

2016-11-16 13:29:09 | Weblog
黒い水母(那珂太郎)
<前略>
それは屍を焼く火葬場ではない
無期徒刑囚の
牢獄でもない
<中略>
やぶられた皮膚に紫の血をにじませ
黄いろい蛔虫を尻からたらして
へんに透明な 揺れうごくうどんこの
臓腑
に詰まった古い記憶ーー
不滅の真理
自由
⚫️
それは腐って屍体に等しい悪臭をはなつ
<後略>
「戦後詩によるメーソン殲滅作戦」

薊(那珂太郎)「戦後詩によるメーソン殲滅作戦」

2016-11-16 10:27:36 | Weblog
薊(那珂太郎)
<前略>
はるかな虹色の雲と化した生とは不治の疾患で
あったか 今こそお前はそれから癒されたというか
はらからよ

かつてその胎内から この世に産みおとされたお前は
すでに土塊と化した母の傍に 今一握の骨片となって
還る 梢を渡る無言の子守唄 露にきらめく骨壺に挿された
透明な薊の花
「戦後詩によるメーソン殲滅作戦」

宣戦布告!

2016-11-15 17:46:45 | Weblog
想えばここ1世紀…戦争の時代だった。
ブルジョワ、メーソン、死の商人。
戦争を演出しては儲け、肥え太り。
戦争を画策しては濡れ手に泡。今も
奴らは活発に戦争を画策しています。
「戦後詩によるブルジョワ、メーソン、
死の商人の殲滅作戦」をスーパームーンの
日から開始します。宣戦布告!

詩人 野村喜和男

2016-11-14 14:33:44 | Weblog



「言葉たちは 芝居をつづけよ、つまり 移動を、移動を」
(野村喜和男)

薄明

私らは還ってきた、
ーー私ら、私とそのかたわれども
またその淡い影たち
おしなべてはぐれものの系譜をひき
眼欠き、ホシ欠いて
ほこりのない貘(バク)という貘は還ってきた

*貘。かたちどる。
*「戦後詩によるメーソン殲滅作戦」

戦後詩によるメーソン殲滅作戦

2016-11-14 10:38:32 | Weblog
魚の骨のある風景より(那珂太郎)

ガラスの螺旋階段を
全身毛の抜けた よぼよぼの怪獣がのぼってゆく
ただ孤り取り残された 盲の生物
のはるか眼下に茫々とひらける砂漠
巨大な魚の骨のようなものが疎(まばら)につき刺さり
そのひとつに
紙凧(かみだこ)のようにひっかかっている
ひからびた神の幻像

*「戦後詩によるメーソン殲滅作戦」開始

あなたとわたしの間の天国

2016-11-13 20:54:46 | Weblog
残念だけれど
ここは天国でも浄土でもない
ここは煉獄または娑婆世界

悲しみも苦しみも憎悪さえ絶えない

悪の芽を根気良く摘み取り
善性の種を撒くしか
凡人の俺にはいい考えが浮かばない

悪を徹底的に叩き
善性を醸し出すさ

あなたとわたしの間にしか
天国は無いそうだ

国家

2016-11-13 01:13:48 | Weblog
そもそも「国家」とは、富の分配をできるだけ
公平にするシステム…資本主義は、富む者は益々
富、富まざる者は益々貧困へ…それでは「国家」と
いう共同体を作る意味がない。マルクスなどは
その後に共産主義の出現というが、私は「神」
中心の社会を考えたい。

つぶやき

2016-11-11 10:05:28 | Weblog
400人につぶやく
社会正義を

まるで秘密の手紙のよう…
儀式めいていて

このバビロンに点る
希望の灯火を消すな

この夜景 なに?

秘密結社の伝言のように
伝わって来る 言葉の強靭なしなやかさ

神とともに必ず
正義を信じ この手で実現すると
つかみ取る 奪取する