2024年の白露(はくろ)は、9月7日である。草木に露が宿る頃とされ、まだまだ日中は残暑が厳しくとも、朝夕には涼しさを覚える。
確かに、迷走を続け各地に爪痕を残したあの台風の後、真夏夜を脱することも珍しくなくなり、そこかしこに秋の気配が感じられるようになったといえまいか。
葉が萌え出たころ、その柔らかな、虫たちにとっては食べ頃の葉をあらかた食い荒らされたクサボタンであったが、猛暑日をどうにかこうにかやり過ごし、いま数か所につぼみを抱いている。
昨年、この一帯にはフジバカマの仲間を植えた。
春先、それぞれが順調に目を出し、すくすくと伸び出していたのだが、季節は移り夏、飛び抜けた炎暑が牙をむく。なんと、剛健とされているフジバカマ、シロフジバカマ、ホソバフジバカマらが次々と立ち枯れてしまい、残ったのはこの羽衣だけとなってしまった。
昨年の花後、綿毛をふんだんに取って播種しておいたので、それらは別所で順調に育っている。
「まぁ、まぁ、このお宅は玄関脇に雑草を生やして、どんなおつもりなのでしょう?」--声なき声が聴こえたような気がした。
仰る通り、いつとは知れず拙宅の玄関脇には、このダンドボロギクが成長していたのである。
「まぁ、せっかく伸びてきたので、花が咲くのを目に留めてからその後を考えようか。」--声なき声がその不審に応答する。
そう、ダンドボロギクだって立派な山野草なのだから。