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電界と電束(第1種)

2021-09-13 23:35:02 | 電験2種への遠い道のり
さてさて、今年は電験1・2・3種の理論の第1問が誘電体の境界に関わる問題でしたが、最後に第1種の問題に触れておきましょう。
さすがは電験の最高峰だけのことはあります。見ただけで拒絶反応を起こしたくなりますね(笑)。こんな試験を受けようという人の気が知れないと思われるのも無理ない話ですが、この試験を取れば監督できる電気設備の電圧階級が無制限になるので苦労に見合った価値はあるのでしょう。私は2種でもたもたした経験から1種に手を出せば大やけどすることが分かりきっているので受けようなどと言う乱心を起こすこともないでしょうw

今回は一定のベクトル解析を使った電磁気学の知識を有しているという前提で話を進めます。深く学びたい方は電子情報通信学会大学シリーズの熊谷信昭著「電磁理論」の解説を読まれるといいでしょう。演習に自信がなければこのシリーズの演習本で「電磁理論演習」に各問題の解法が載っています。ベクトル解析を演習したいという方にはサイエンス社の黄色い表紙の演習シリーズで寺田文之・坂田注 共著「演習 ベクトル解析」で具体的に計算をトレーニングできます。ただし、電験以上の電磁気学を学びたいと思いつかない限りこの手の書籍には手を出さないほうが無難というものです。はっきり言ってこの3冊どれも電験に求められる内容をかなり超えていますので、電験の取得を目的に電磁気学を学ぶのであればこのような本に手を出すのは自ら挫折へ向かっていくようなものです。電験ではビオサバールの法則の使いこなしは要求されますがMaxwell方程式からの導出までは求められていません。

3種・2種の過去問から境界面に垂直な成分の電束密度が変化せず、平行な成分の電界強度が等しくなるということはおぼろげに推測が付きます。
これはMaxwellの方程式から導出される境界条件に符合します。公式を書くと
×(1-2)=0
n・(D1-D2)=ξ
ベクトルの内積・外積は分かっているものとして話を進めさせてもらいますがξというのは境界面の自由電荷の面電荷密度です。ただし今回は導電性のない物質間の境界値問題なので自由電荷の面電荷密度は0になります。境界面の法線ベクトルに対して境界面前後の電界ベクトルのベクトル積が等しいので電界強度の面に平行な成分は等しくなり、前後の電束密度のスカラー積が等しくなることから垂直成分が等しくなることが分かります。
このことから⑴の答えはヌであることが分かります。

次に電荷Qによる電界強度EQを求めますが、E=q/4πεr^2にq=Q、ε=ε0、r=√2*aを代入すればEQ=Q/8πε0a^2です。点Pと境界面の角度はπ/4なので垂直・水平成分の大きさはどちらもEQ/√2であることが分かります。EQ’も同様に求めることが出来、E0h=(Q+Q’)/8√2πε0a^2、E0V=(Q-Q’)/8√2πε0a^2となり⑵の答えはヨとなりますね。

Q’’による電界については問題文に答えが与えられています。Eh=Ev=Q’’/16√2πε0a^2です。つまり2ε0の誘電体に全体が満たされていると仮定しての計算なので必然的にそうなります。電験1種を志望されている方はもとより電験2種までが取れているならこのことがなぜなのかは説明するまでもないと思いますので・・・

ここで再び境界条件×(E0-E)=0 よりE0h=Eh
・(0-)=0よりε0E0v=2ε0Evが成立しますので⑶の答えはヲになります。
それぞれの電界の成分を境界条件に代入するのですが共通する部分を除いていくとQ、Q’、Q”の連立方程式になります。

2Q+2Q’=Q”
Q-Q’=Q”

これを解けばQ=-Q/3なので⑷はホ、Q”=4Q/3になるので⑸はワになるわけです。






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