奏~かなでうた~詩

自作詩を書いています。自分の心と向き合いながら。

雑草に生まれたならば

2012-12-04 | 心詩~こころうた・己
踏まれても
素直に萎れてなんかやるな

踏まれても
踏みにじられても
じっと踏ん張って
起き上がる力を鍛えろ


雑草に生まれたならば
温室の花を羨むな

雑草にも春が来れば
可憐な花が咲くのだから

天が降らす雨を浴びて
ひとりで立派に育つのだから


目に映る容姿や肩書きで
人の評価は概ね決まる

だけど

目に映るものだけで
人の価値は決まらない


己の価値は
己で作り上げろ

見た目や持ち物で
他人に媚びるな

容易く萎れない
健全な精神を宿せ

それが雑草の生き方
誰にも認められない
草の根の意地


泥だらけでも
空に向かって伸びてゆく
朝露に煌めく若芽のように

それが本当に
美しく生きるということ

本当の価値は
己の胸に手を当てて決めるもの

潔く
清廉に
誇り高く

雑草は
そう容易くは萎れない

泡沫の焔

2012-12-02 | 心詩~こころうた・己
目の前の景色は
一瞬で変り果てる

平穏は 幸福は
宙にふわふわと浮かぶ
儚い泡沫(うたかた)のようなもの

永遠に続くものなどない
約束された未来も
目指す先にある道も
本当に
そこに存在しているの?


人は
何を頼りに
明日を選ぶのだろう

人は
何を信じて
愛を育むのだろう

人は
何があれば
生きていけるのだろう


姿を変え続ける
この世界の片隅で
ちっぽけな僕たちは
失うまいと
奪われまいと
必死に握りしめて
生きている


世界は
闇へと引きずられながら
蠢き続けている

大切なものは
自分自身で守らなければ
すべて
黒い淵へと飲み込まれてしまう


汚れなき祈りは
歪んだ欲望に掻き消され
一瞬の油断に
魔物はするりと入り込む

人間が放つ業の焔が
この世界を包み
生きとし生けるものの
息の根を止める


僕の焔は
この世界を殺すの──?