昌栄薬品です
渡辺武著 わかりやすい漢方薬より 1 女性自身と漢方薬
第二章 漢方薬は何に効くか
女性の不感症は男性のせいか
唐時代に『備急千金要方』の婦人科に、香り高い香辛料の気剤が、専門薬として入れられていたのは、二千年前から、頭をカッカさせて皮膚に負担をかけることは女性の敵であったからだといえます。
頭をカッカさせることは、女性が男性並みに頭を使うということ、頭に血が上り、下腹部の血行が悪くなるということです。
男性の場合は頭に血が上ることは、度を過ぎない以上、正常といえますが、女性の場合は身体の機能から見て大変な支障が起こってきます。
作家の瀬戸内晴美さんがいった有名な言葉に「男は頭でものを考える動物だが、女は子宮でものを考える動物だ」というのがあります。
これは文学におけるものの思考をいわれたのでしょうが、人間の男女の身体の機能の違いもここにあるのです。
男性は頭を中心に血が回り、女性は子宮を中心に血が回っているのです。
頭のカッカしている女性は手が温かく、他人のことまで気を使いすぎます。
よく職場などで男性の気づかないことにまで、ちゃんと気を配っている、いわゆるよく気のつく女性が一人ぐらいいるものです。
これは女性の防衛本能という性格からくるものですが、これが度を過ぎると、今度は気ばかり立って、手が湿ってきて、頭から湯気を出しているような状態になります。
下腹部の血行はおろそかになり、頭と下半身の機能がちぐはぐで、月経不順になったり、下半身の血行が少なくなるわけですから感じなくなります。
これが男性化のはじまりです。
女性の正常な状態は、下腹部に血液が循環している場合で、そういう時には欲しいものは欲しい、男性とも恋をしたい、早く結婚がしたいと思うものです。
ところが、いまの女性は成長が早いが、といって早く結婚することもできません。
この女性の自然の欲求が高じてくると、だんだん頭に血が上ってきます。
精神的なことと肉体的な条件が一致しないで、ますます神経質になってノイローゼみたいになってくる女性も出てくるわけです。
女性の気の道症には、正常だが気ばかり焦っている状況と、異常で頭ばかりカッカして下半身がおろそかになっている場合があります。
いずれにしろ下半身がおろそかになると、月経不順になってきます。
気の道症は女性の場合は血の道症に通じているのです。
気の道、血の道症もあるし、それに水滞が重なると相乗作用を起します。
女性は子宮への血のめぐりが悪くなると、たとえセックスがあっても、下腹部が冷えているので受胎力は弱い。
冷えのぼせは胃腸下垂を起して、子宮にとってはふんだりけったりの状態にあるのです。
血の道症は、月経不順から無感症になり、不感症をよびおこして、不妊症ということになります。
よく下世話では「女房が不感症になるのは、父ちゃんが悪いからだ」といわれます。
父ちゃんがおかみさんを放ったらかしにしたせい、というのとになっていますが、女性の機能からみますと、頭ばかりカッカして子宮の血液の循環が悪ければ、女性は気の抜けたビールのようなもの、父ちゃんの手練手管の舵とりも無用の長物になってしまうのです。
女性はどんどん不感症になり、男性は自分勝手という情況にたち至るわけです。
最近、職業婦人や女性の学者で結婚しない人が多くなりました。
結婚しても子供のできない夫婦がよくあります。
職業婦人や女性の学者は、頭をカッカさせて、下腹部への血のめぐりを悪くしていて、いいかえれば男性化しているのです。
気の道症から血の道症へ、無感症から不感症へ、そして不妊症への道を辿っているようなものなのです。
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