おはようございます昌栄薬品の宮原 規美雄です
黄帝内経素問 刺腰痛篇 第四十一
第三節
會陰之脈、令人腰痛。痛上漯漯然汗出。汗乾令人欲飲。飲已欲走。刺直陽之脈上三痏、在蹻上郄下五寸横居。視其盛者出血。
飛陽之脈、令人腰痛、痛上怫怫然。甚則悲以恐。刺飛陽之脈、在内踝上五寸、少陰之前、與陰維之會。
昌陽之脈、令人腰痛、痛引膺、目然。甚則反折舌巻不能言。刺内筋爲二痏、在内踝上、大筋前、太陰後、上踝二寸所。
散脈、令人腰痛而熱。熱甚生煩。腰下如有横木居其中。甚則遺溲。刺散脈、在膝前骨肉分間、絡外廉束脈。爲三痏。
肉里之脈、令人腰痛。不可以欬。欬則筋縮急。刺肉里之脈、爲二痏。在太陽之外、少陽絶骨之後。
語句の意味
會陰=会陰・えいん。任脈に属する経穴名、または人体部位名で簒(さん)下極、平翳ともいう。新・東洋医学辞書13
会陰=えいん。①簒(サン、セン、うばう)、下極、屛翳ともいう。生殖器と肛門の間の部分。②穴名。会陰部の正中にあり、任脈経に属する。
下極=かきょく。人体部位名、または経穴別名で会陰(えいん)・横骨(おうこつ)の別名。新・東洋医学辞書13
漯漯=とうとう
鍼灸医学体系(語句の解)
そこで「漯漯然として汗出づ」とは「幾重にも重なって汗が出て来ること」で、つまり流れるような汗の意である。
直陽之脈=ちょくようのみゃく。①太陽の脈のこと。背から足にかけて真っすぐ行っているのでこう呼ばれる。<素問刺腰痛篇>「直陽の脈上を刺すこと三痏。」②督脈のこと。
蹻上郄下五寸横居
鍼灸医学体系(語句の解)
*蹻の上、郄の下五寸に在りて横居す 蹻の上とは陽蹻脈上の意であり、郄は已にしばしばあったように膕中を意味するものであろう。蹻の上について王冰は陽蹻脈の生ずる所、即ち申脈穴の上方と解しているが、ここにわざわざ申脈穴をもって来る必要は全くなく、これは寧ろ陽蹻脈上の意に解するのが妥当であろう。横居すは横に並んでいるという意である。
この部位を王冰は承筋穴として居るが、文章の上から見れば承山穴とも考えられる。尚検討を要する(今は仮に承筋穴として置く)。
視其盛者出血
鍼灸医学体系(語句の解)
*其の盛んなるものを見て之を刺せとは、穴そのものを刺せというのではなくて、其の穴の附近に在って血絡の盛り上がっているものを刺せという意味であろう。
飛陽之脈=ひようのみゃく。陰維の別名。太陽の脈より少陰に走って起るのでこの名がある。<素問刺腰痛論>「飛陽の脈を刺すは、内踝上五寸に在り、少陰の前、陰維との会なり。」
陰維脈=いんいみゃく。奇経八脈の一つ。内踝の上方より起こり、下肢内側、腹部、胸部、咽喉を経て、後頸部で終る。本経に病がある時は、心痛などの症状がある。
昌陽之脈=復溜を走行する経絡は足少陰腎経。湧泉、然骨(然谷)、太谿、大鍾
水泉、照会、復溜、交信・・・
昌陽=しょうよう。経穴名、復溜(ふくりゅう)の別名。新・東洋医学辞書13
甚則反折舌巻不能言
反折=はんせつ。角弓反張(かくきゅうはんちょう)に同じ。<素問骨空論>「督脈の病たる、背強反折す。」
角弓反張=かくきゅうはんちょう。頭頂部が強直して背腰が弓なりに反る病証。新・東洋医学辞書13
角弓反張=かくきゅうはんちょう。風気が虚に乗じて諸陽経に入り、頭項強直し、腰背が反折して後ろに向って角弓のように彎曲する状態をいう。これは風病あるいは熱が極まって風を動かす一種の症状である。驚風・破傷風および種々の病因によって起こる脳炎・脳膜炎などに見られる
内筋=ないきん。①内踝の上の大筋のこと。②復溜穴をさす。<素問刺腰痛篇>「内筋を刺し二痏と為す。」
大筋=だいきん。①項上の筋肉。<素問気府論>「項中大筋両傍各一。」②上腕部の筋肉。<霊枢邪客篇>「大筋の下に入。」③踝上の筋肉。<素問刺腰痛篇>「内踝の上、大筋の前にあり。
散脈=足の太陰脾経(隠白、大都、太白、公孫、商丘、三陰交、漏谷、地機、陰陵泉・・・・・。旧カネボウ漢方経絡と経穴)
鍼灸医学体系(語句の解)
*王冰の注 「散脈は足の太陰の別なり。散行して上る。故に以て名づく。・・・。」
束脈=そくみゃく。
鍼灸医学体系(語句の解)
・・・。そうすれば刺す部位は足の太陰脾經の地機穴ということになるのであるが、・・・。
肉里之脈=にくりのみゃく。①<素問刺腰痛篇>「肉里の脈、人をして腰痛せしむ。・・・肉里の脈を刺して二痏を為す。太陽の外、少陽絶骨の後に在り」②肉は分肉、里は肌肉の文理をさす。
鍼灸医学体系(語句の解)
*肉裏の脈 足の少陽胆經の生ずる所で、つまり陽維脈の脈気の発する所は金門穴に別れ、足外踝の下に在る。
*筋縮急す 一種のけいれんを起すことである。
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