おはようございます昌栄薬品の宮原 規美雄です
黄帝内経素問 擧痛論篇 第三十九
第四節 飧泄を飱泄に訂正
帝曰。善。余知百病生於氣也。怒則氣上。喜則氣緩。悲則氣消。恐則氣下。寒則氣収。則氣泄。驚則氣亂。勞則氣耗。思則氣結。九氣不同。何病之生。
岐伯曰。怒則氣逆。甚則嘔血及飱泄。故氣上矣。喜則氣和、志達、榮衞通利。故氣緩矣。悲則心系急、肺布葉擧而上焦不通、榮衞不散、熱気在中。故氣消矣。恐則精卻。卻則上焦閉。閉則氣還。還則下焦脹。故氣不行矣。寒則腠理閉氣不行。故氣収矣。則腠理開、榮衞通、汗大泄。故氣泄矣。驚則心無所倚、神無所歸、慮無所定。故氣亂矣。勞則喘息、汗出、外内皆越。故氣耗矣。思則心有所存。神有所歸。正氣留而不行。故氣結矣。
語句の意味 5-5
外内皆越
鍼灸医学体系(語句の解)
*馬蒔の註 「労するときは則ち気耗すとは、正に人労役あるときは則ち動じて喘息するを以て、其の汗必ず外に出づ。夫れ喘するときは則ち内気超え、汗出づるときは則ち外気越ゆ。故に気之を以てして耗散するなり」と。
*外内皆越す 外とは汗が体外に出ること。内とは体内に於ては喘息することを指していう。
越 ・・・・・・
従って「内外越す」ということは、内も外も常規をこえた状態となる。つまり常態でなくなるという意。そこで気を消耗することとなるのである。
東洋学術出版社素問【注釈】
外内皆越す―馬蒔の説「人は労働すると気が動いて喘ぎ、その汗は必ず外へ出る。一体、喘げば内気〔原気=腎(命門)を源に発し丹田に蔵され三焦を通じて全身に達し全ての器官組織を活動させる源泉・新・東洋医学辞書13〕が越えて出てゆき、汗が出れば外気〔呼吸の気〕が外へ出てゆく。そこで〔体内のあらゆる〕気がこれによって消耗し失われるのである」。
心有所存
鍼灸医学体系(語句の解)
本文にいう「心存する所あり」とは「心の中に止まって動かないものがある」意で俗にいう「しこりがある」ことである。
存=ソン。ゾン。ある。現にある。現存。存置。生きながらえる。生存。たずねる。とう=問。あわれみとう。なぐさめる。ねぎらいとう。思う。考える。〔日〕承知している・知る。たもつ。安んずる。存在を保護する。保存。安らか。新明解漢和辞典
神有所歸
神有所止
鍼灸医学体系(語句の解)
*神帰する所あり 本文のままであると「精神のおちつく定位置がある」ということで驚の場合と反対になるわけだが、それでは前項の「心にしこりがある」意味との関連性がおかしい。そこでこれは甲乙經にある如く「神止る所あり」の意味ではあるまいか。つまり精神的にも何かさっぱりしないものが残っている意であろうと思われる。
正氣留而不行
止氣留而不行
*正氣留って行かず これはこのままでも意味の通じないことはないが、本節の中はもとより本篇のどこにも生気という語は他に用いていない。そこでここも亦甲乙經にある如く止気(正と止との誤り)の意ではあるまいか。だとすれば止まった気(栄気及び衛気)がそこに留してどこにも行かない状態となって、つまり結の状態をかもすことになるのである。
この項鍼灸医学体系と東洋学術出版社素問の写しになりました。
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