おはようございます昌栄薬品の宮原 規美雄です
薬学博士渡辺武著『漢方が救う人体危機』
現代医療の誤りを正す
第2章 漢方はどう診断するか
体の中の熱と冷えで処方は異なる
p96狩猟民族用の薬と農耕民族用の薬はおのずと異なる!
「センブリ」といえば、民間薬の煎(せん)じ薬として、いちばん日本人に親しまれた薬草です。
戦前生まれの人なら胃腸調整薬、虫下し、風邪、婦人病など効能が広く、どんな病にも「センブリ」を飲まされた記憶があるはずです。
薬草の中ではいちばん苦い薬、当薬(とうやく)といわれ、苦味(くみ)性の健胃整腸剤として利用されてきました。
そもそも、「センブリ」は炎症をとめ、熱を取る薬、文字どおり寒いときに「センブリ」を飲むと、千度ぶるぶると震えるほど、冷たくて苦い薬だといわれています。
また千度振り出してもなお苦みがあるからだともいわれています。
「センブリ」には忘れられない思い出があります。
戦争中の医薬品が不自由であったころ、ある日、急に北支那派遣軍の軍司令部から、健兵錠という胃腸薬の原料になるセンブリを、現地に行って調達する命令を受けました。
外地や戦地で、兵隊はとくに胃腸をじょうぶにしておけば安全だというわけで、陸軍用の胃散のような薬を、健兵錠といっていました。
当時は日本国民の食糧も医薬品も欠乏時代ですから、日本産の「センブリ」生産は国内の需要だけで精いっぱいだったのです。
それなら北支の鉄道沿線の高原に自生する中国の「センブリ」を利用すればよいと考えて、あらかじめ司令部から薬剤官に中国の薬店で当薬を集める手配をしてもらったのです。
ところが、中国の薬店では「当薬はない」の一点張り。
直接薬店に出向いて、「中国ではウサギの糞(ふん)やコウモリの糞まで、望月砂とか夜明砂などと名づけて薬に使っているのに、こんなに自生しているセンブリをなぜ使わないのか」と詰問(きつもん)し、よく事情をただしたところ、
「貴国では千度も身震いするほど苦い寒性の薬といっているではないか、そんなドライアイスのような冷薬は北支の風土では使えない。
中国では自然の条件に合わせて、もっと穏和なリンドウ、コガネバナ、キハダ、黄連(おうれん)などの苦味薬がたくさんあるので、そのほうを飲んでいる。
兵隊さんは採(と)ってくれとはいわず、倉庫の品物を出せといわれるので、そんな薬草はないと答えたまでです」
ということで、一本まいったわけです。
中国産の「センブリ」は、その後彼らの協力で「健兵錠」の製造に一役買うことになりました。
しかし、じつは、健兵錠は日本人向けの胃薬としてはあまり効かない薬だったのです。
「センブリ」は胃や腸の炎症をおさえるのですが、日本人の当時の食生活では、肉は食べず、香辛料も摂らないで、米と野菜と果物ばかりを食べていたのですから、胃や腸に水分の停滞は起こっていますが、炎症が起こるような胃炎は少なかったのです。
むしろ、健兵錠は肉やスパイスを多量に摂っているヨーロッパの狩猟民族用の薬なのです。
農耕民族の薬ではなかったわけです。
兵隊さんの健兵錠をじゃんじゃん飲ませて、結局は、胃腸が水滞で冷えているのに、いっそう冷やして、ぴちゃぴちゃの下痢症状の兵隊さんにしていたわけです。
もっと胃腸のじょうぶな兵隊さんにするには、中国式に「辛温」という漢方の薬を与えるべきだったのです。
それでは、戦後は日本経済の高度成長で日本人の食生活も変わり、肉を食べるようになり、暴飲暴食が多く、健兵錠が胃腸の薬として効くようになったのではないか、といわれそうですが、日本人の肉食はヨーロッパと違って、香辛料を摂らない肉食なのです。
ヨーロッパ人は長い歴史のなかで、肉を食べるときはかならず香辛料を摂ってきました。
その数はふつうの家庭でも五、六十種あるといわれています。
日本のように胡椒(こしょう)と辛子(からし)だけでは、胃腸の炎症は起きません。消化不良で下痢するだけです。
この場合は、適量の香辛料を摂れば解決するのです。
ふつうの胃腸の病には下痢だと、熱性下痢か冷えの下痢かのどちらかです。
胃腸の薬はそれによって苦い薬(寒性)か、辛い薬(熱性)を選べばいいわけです。
戦後の製薬業界では、この点に気づいて、戦前の欧米人向きの苦味健胃薬から、はじめて日本人向きの芳香性健胃整腸薬に方向転換し、そのため今日では、大衆薬部門では胃腸薬はメーカーのドル箱の一つに数えられる薬剤になっています。
しかし、蛙(かえる)の子は蛙で、新薬メーカーの研究企画担当の技術者たちは、欧米式教養の持ち主ですから、水滞などありえない国柄の薬の研究調査にくわしいので、完全に日本人向けに脱皮することができず、一、二の有名メーカーを除いては、漢方薬のような胃腸管内の水滞や水毒を排除する水剤を加味したものは市販されていません。
漢方が救う人体危機西洋医学一辺倒からの脱出
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