久々に森見登美彦さんの(もう何年も前に発行ですが…)本を読みました。
「恋文の技術」(ポプラ社刊)です。
能登の実験所に行かされた、京都の大学院生が寂しさをまぎらわす為に、京都の知人に手紙を書きまくる…という設定の、書簡体小説です。
書簡体小説…というので、今までなんとなく読まずに来たのですが、なんというかものすごく面白かった( ̄□ ̄;)!!
思えば、私が高校時代にはまって読み漁った偉大なる作家、宮本輝さんの小説も、初めて読んだのは「錦繍」という書簡体小説だったではないか…
そして私自身、このご時世にもかかわらず、金沢在住の大学時代の友人とは未だに文通を続けているではないか…。
あなどることなかれ、文通!
本題に戻りますが…
この小説では、主人公が様々な相手に送った手紙の内容から一筋のストーリーが浮かび上がるのですが、その相手によって状況が変わるから同じ出来事でも違うテイストを帯びてきたり…
このあたりの絶妙さは「四畳半神話体系」につながる森見さんならではの面白さでした。
最後は恋文の技術が上達したのか、意中の人への文で締め括られます。
なんか久々にワクワクしながら読みました。
笑いのなかにもちょっと切ない恋心が見え隠れする森見さんの小説が好きです。