大池の側でねむの木(合歓木)が開花していました。
ねむの木は、万葉歌にも詠まれ、その花は、古代より日本人に親しまれてきました。
ねむの木と呼ばれるようになったのは、
葉が夜になると、眠るように自分でゆっくりと閉じることに由来する言われています。
「ねむる」であれば「睡る」か「眠る」と表記されるはずなのに
なぜ「合歓」としたのか不思議で、試しに広辞苑を開いてみました。
載っていないだろうと思っていたのですが、さすがに広辞苑、ありました。
ごう‐かん【合歓】ガフクワン
1.歓楽を共にすること。2.夫婦が同衾(ドウキン)すること。3.合歓木の略。
この木が、「夜、眠る」ことから想像を膨らましたということでしょうか。
平安時代の歌人や貴族の教養の一つに、
こういう艶やかな世界に物事を導く感性・想像力がありました。
そう考えると、この字をあてがったのは、
源氏物語時代に生きた貴族達では、
と想像したくなりますが、果たしてどうでしょうか。
そんなことを頭に描きながら見ていると、
この変わった花が、先端が頬紅に染まった化粧刷毛に見えて来るから不思議です。
薄幸な短い生涯を閉じた夕顔の形見の「化粧刷毛」
それを前にして後悔の念に苛まれながら落涙する源氏の君
そう想像したい ねむの木の花 でした。