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シンジへ。
お疲れ~、カズ@野毛のチン麺はMY Soul Foodです。(笑)
話のわかる上司がやって来て、よかったじゃん。
でもドイツ人達とあんまり喧嘩しないように、気をつけなよ。
プロフェッショナルとして大切なのは、それが正しいか、正しくないかということではなく、"自分の目的を実現すること"や、"結果"なのだから。
オレ達ミュージシャンが、"できるだけ良い演奏"をレコーディングして、それを"世に出したい"と思うようにね。
(まあオレもすぐに熱くなって、その過程でいつも喧嘩しちゃうから、今だにうだつが上がらないのだけれど。苦笑)
シンジの話を聞きながら、ヨルダンのペトラでの出来事を思い出したよ。
ペトラは、映画"インディ・ジョーンズ/最後の聖戦"で、聖杯が隠された遺跡として登場する、実在の遺跡なのだけれど、この遺跡で歌っていた時のこと。
ヨルダンは石油が殆ど出ない国で、他の産油国みたいに裕福じゃないんだ。
だから未だに砂漠のベドウィン(アラブ遊牧民)達の、昔ながらの生活が所々残っていたりするのだけれど、彼らも生計を立てるために、観光客向けのビジネスをやったりしているんだよ。
このペトラ遺跡の中でも、観光客向けのレストランがあって、ギターを持ってペトラの遺跡を歩いていた時、そのレストランの1つで、ベドウィンのおやじに声をかけられたんだ。
自分のギターを指さして、「演るのか?」と聞かれたから、「もちろん」と答えて、その場で何曲か英語や日本語の曲を歌ったんだよ。
そうしたら、その店のベドウィンのおやじが、「ウチの店で働かないか?」って言うんだ。
彼曰く、オレがこの店で歌ったら、もっと沢山の日本人観光客がやってきて、店が流行るだろうって、熱心に口説いてくるんだ。
「それは嬉しい誘いだけれど、オレは日本で仕事を持っているから、ここで働くわけにはいかないな」と話したんだ。
そうしたら、「お前の給料は、らくだ何頭だ?お前はらくだを何頭持っている?」と聞くんだよ。
彼達ベドウィンにとって、らくだは今だに富の象徴であるらしく、オレが「らくだは持っていないな」と返すと、「なんだ、そんなところやめてしまえ。お前がここで働けば、ここにいるラクダをお前にやるから」と言うんだ。
まあ外国人をからかった、ちょっとしたジョークなのかもしれないが、それでもそんな風に言われて嬉しかった。
ちなみにその時は、「オレにらくだは必要ない。可愛いジャパニーズ・ガールをくれるなら考える」と返したのだけれど。(笑)
もう1つ、西アフリカのマリの首都バマコから、ジェンネまで旅した時の話。
その時は、エアコンも付いていないオンボロバスで、10時間以上も移動したんだけれど、車内が狭いから、バックパックをバスの下にある荷物置き場に入れたんだ。
(バスの屋根の上に乗せてロープで縛るか、下の荷物入れの2択だった)
しかし後から乗ってきたジモピーが、20頭位のヤギを連れていて、ヤギはどうする気だろう?と思っていると、ヤギ達をバッグパックが入った下の荷物入れに、詰め始めたんだ。
悪路で灼熱の中を10時間以上も移動するから、当然家畜達にとって過酷な環境。
目的地に着いた時には、ヤギが何頭か死んでいて、しかも俺のバックパックは、ヤギ達の汚物マミレになっていた。
(念のためバックパックの外側を、ビニールのゴミ袋で覆ってあったから、そのくそマミレになったゴミ袋だけを捨てたけど、ふざけんじゃねえ!って感じだろ?)
でもマリでは、ヤギは大事な財産であり、荷物なのだから、他の乗客の荷物と一緒にのせるのは当然のことで、いちいちそれで怒るオレの方が悪いらしい。
本当に所変われば、"当たり前"って、国ごとで違うのだと、思い知らされた出来事だった。
シンジ。オレはこう思うんだ。
世界に出たら、日本の価値観や物差しは通じない。
まずはその国の"当たり前"を知るところから始めて、実際にその中に飛び込んでみて、そこで自分達の良さを発揮し、自分達が目指すものを実現していけば良いのだってね。
そうそう、アフリカと言えば、俺はアフリカ等の発展途上国に行くと、よく現地の中華料理屋を利用するんだよ。
日本人としては時々、米が食べたくなってくるのだけど、まともな日本食レストランはめったにないし、一方で中華料理は、大抵の国で、中国人の経営するお店があるから。
(マリのバマコでも、中国人のおばちゃんが経営する店があった)
世界のあちこちで中華料理のお店に入ると、こんな遠方の小さな国で、オリジナルに近い味付けの、すごく美味しい店があるんだという、良いサプライズの店があったり、逆になんじゃこりゃ!っていう感じの、現地風に味付けを変えた、オリジナルからは程遠い味の店があったりするんだ。
確かドイツの中華料理店も、味付けがローカル風になっていたと思うから、シンジもイメージわくよな。
ただし場所によっては、オリジナルに近い美味い店が流行っていなくて、逆にすごくマズイ、ローカル風の店が流行っていることもある。
オレなら間違いなく前者の店に入るけれど、だからといって後者の店がやっていることが間違っているとも思わないんだ。
これは想像だけれど、前者の店は、本場の味を届けたいと思って頑張っているのだろうし、後者の店は、この場所でビジネスとして成功したいと思って、異国の地でそこに適合しようと、頑張っているのだと思う。
大切なのは、自分が何を目指し、その目的を達成する為に、ちゃんと前進しているかどうかで、どちらが良いか悪いかじゃないって、オレは思うんだよ。
だからオレは、シンジが目指す道をしっかりと定めて、そこに向かって進んでいるならば、それでOKだと思っているんだ。
P.S.
写真は、ヨルダンのペトラで歌った時のものだよ。
あの時、オーナーの誘いを受けていたら、今頃オレはここで歌いながら、ラクダを引いていたのだろうか、、、???
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