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自由思考 (3)

2019-09-03 16:10:55 | ⑤エッセーと物語
⑬だがしかし、現憲法の国民主権を、脳内で首相主権に改ざんすれば全て説明がつく。
 実際、首相を熱烈に支持する団体の中には、現憲法の国民主義は間違っていると
 堂々と述べる者もいる。今の日本の状態は、首相主権の国と思えてならない。実際、
 首相を批判するだけで売国奴(ばいこくど)と呼ぶ者もいる。「選挙で選ばれた首相を
 支持するのは国民主義」などの意見を聞くが、この国は、一度選挙で選ばれた
 政治家は、次の選挙まで何をしてもよく、批判してはならない国なのか。
 日本はそんな三流国家ではない。

⑭セクハラに関し愚(おろ)かな発言をし、取り消して謝罪した政治家もちらほらいる。
 全ては政治の劣化が根本原因と思えてならない。ちなみに今の政治家をさまざまに
 思い浮かべてみてほしい。そもそも「知性」、あるいは「社会的立場の弱い存在に
 対する優しさ」のうち、どちらか片方も感じられない人間を政治家にしてはならない。
                             
⑮差別とは、その個人を見ない。人柄も努力も関係ない。人種や国籍など、その人間の
 変えられない、変えることの難しい属性でその人間を否定的に判断し選別するものだ。
 過去の大量虐殺は、その個人を見て行われたものでは当然ない。「ユダヤ人だから」
 「ツチ族だから」と属性のみで憎悪するから「大量」虐殺/リンチが可能となる。
 差別はあおられると増大する傾向がある。だから社会的動物としての私たちは、その点に
 敏感になる必要があり、社会に何かを発言する人は特に「繊細(せんさい)さ」が
 要求される。自分の言葉が「予期せぬ差別扇動」となる可能性があるからだ。
 (日本を含む今の世界にとって、一番必要な言葉だと思う。心のもやもやが中村さんの
  文章に的確に表現されていて、読んでいてスカッとした)

⑯人と人が争う地獄の未来を望む言論人が差別発言をするなら、間違ってはいるが
 「筋は通っている」。だが彼らの多くはその未来を望んでいないと言い、もし現実が
 そう発展ーー人間の集団差別心理が暴走する時、かなりの速度で進行するのは
 歴史が実証しているーーした時「そんなつもりはなかった」と語るのは言論における
 責任の欠如(けつじょ)となる。でも現状では、自分たちとは違うものを侮蔑(ぶべつ)/
 揶揄(やゆ)することや、自分たちを他国民より優秀と思いたい感情や、他集団への
 攻撃性などの人間の性質を、その社会的動物の暗い本能欲望をあおることで
 商売する者たちが増えている。そのような文章を読む時はその商売意図を意識し、
 注意が必要だ。誰だって多少はあおられる。できるだけ読まない方が、
 人格にとっていい。つまりジャンクなのだ。
 そしてそういうジャンク商売は、そろそろやめた方がいい。数年後にまずいことになる。
 そのようにあおられた感情は、社会の中で蓄積(ちくせき)されてしまうので。

※この本には、中村さんの5つの小説が映画化されたことが載っている。
 ①~⑤を借りて観た。

①去年の冬、きみと別れ
②最後の命
③悪と仮面のルール
④火Hee
⑤銃

歳を取ると、五感がむき出しになるように感じる。
若い頃には耐えられた怖い場面が、今はもう耐えられない。
①の映画は怖い場面はあるにはあるが、それ以上にプロットが面白くて
一気に観てしまった。この構想は凄すぎる。
また、なぜ最後にこのような甘いタイトルを付けたかが分かり、絶句した。

②の映画は、少年の頃にたまたま目撃してしまった事件のトラウマを抱えて
生きることになる、二人の心の葛藤がよく描かれている。
①も②も役者が素晴らしい。 特に①はお薦めです。

※『最後の命』を読む。たまたま夜に秘密基地に来ていた二人の少年が
 集団強姦(後に殺人)事件を目撃し、犯人たちに捕まり、大人になっても
 消えないような酷い仕打ちを受ける。少年期、青年期、そして成人になって
 からも、その記憶はいつ噴き出し、いつ暴れ出すか分からない恐怖。
 トラウマという言葉では片づけられない傷を、一生背負い続けなければ
 ならないのだ。自分に正直に生きようとすればするほど、傷が二人の人生に
 立ち塞がってくる。それでも
 傷を負いながらも、生き続けなければならないというメッセージを
 私は受け取った。          (2020年8月22日 記)
 
③の映画は人間の善と邪を突きつめた作品だ。小説も映画も真剣に作られている。
 真剣に観ていると何度も胸が苦しくなった。
 無機質な構図と映像処理がこの映画に合っている。

④の映画は桃井かおり監督・主演の映画で、DVD化されています。
 (桃井さんはアメリカのインディ映画に数多く出演されています)。
 私はこの小説を読んではいないが、桃井さんのために書かれたように感じた。
 この役は桃井さん以外には考えられない。
 全身小説家という映画があったが、彼女は全身役者だ。
 このような役者を使える監督が、日本にはいないのだろうか。
 ちなみに④も⑤も配給は吉本興行だった。

 次の動画を観ると概要が分かります。
 中村さんが話しているのを初めて観ました。

映画「火Hee」特別トーク映像 公開記念 桃井かおり×中村文則×又吉直樹
          ↓
https://eiga.com/movie/84215/


⑤中村さんの小説を映画化した作品は全て、観る方にも覚悟が求められる。
 特にこの映画では主人公が銃を拾ったばかりに、観る方は一秒たりとも
 気が休まることがない。
 社会に対する怒り、人間が根源的に持つ悪と言ってしまえば簡単だが、
 人間の本質をぐいぐい突いてくる。
 また、いろいろな監督が村上虹郎という役者を使いたがる理由が、この映画で分かった。
 絆、感動、勇気、涙、一生懸命、夢を叶える、こんな見え見えで薄っぺらい映画が
 幅を利かせて、興行収入ランキングの上位を占めている。
 本物の映画を観る文化的な土壌が、今の日本には欠けているのだろう。

追記1
「銃」を観てから広瀬アリスのファンになった。
でも私が知る限り、この映画以上の役を観ていないように思う。
演劇でも映画でも、これを超える役が観たい。
(2021年6月23日 記)

追記2
2022年春のテレビドラマで、広瀬アリスが主役を演じている
ドラマが2つある。ファンとしては今度こその思いで初回を観た。
「探偵が早すぎる」は展開が速いが、ドタバタ劇すぎてついていけない。
「恋なんて、本気でやってどうするの?」は正攻法の脚本で、27歳の
女性のリアルを演じていて好感が持てた。今後が楽しみだ。
外野や視聴率を気にせず、伸び伸び演じてほしい。
(2022年4月20日 記)

追記3
「探偵が早すぎる」を観ているうちにパターンにも速さにも慣れ、
楽しんで観ている。
広瀬アリスはコメディエンヌとしての才能もすばらしい。
(2022年5月7日 記)


 
 



















  



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