昨年はお読みくださり、ありがとうございました。
今年はこれ以上戦争を起こさない年に、そして一日も早い退陣を願っています。
年末年始のニュース番組は(極端に削られ腹立たしい限りですが)、どの局も
駅で孫を出迎え、見送るおじいさん・おばあさんの姿を映し出していた。
何でこうも毎年、毎年、紋切り型なのだろう。
おまけにコメントは、「今年はオリンピック・イヤーなので明るい年にしたいです」
素直で善良な、前向きで疑うことを知らない人々。
難しいことや、ややっこしいこと、今のところ自分に直接関係のないことには
目を背け、新しいものや楽しいものを追い求める。
その方が楽だ。皆が一つになって応援し楽しむ。
オリンピックが近づくにつれ、ますますこの傾向が強まっていくのだろう。
確かにオリンピックは、世の中にはびこる【臭いもの】に蓋をするには
もってこいのイベントだ。
この白々しさに、あと何ヶ月耐えなければならないのだろう。
年末年始に読んだ、あるいは観た次の作品は、そこにあるものから逃げず、
目を背けず、ごまかさず、真摯に作り上げたものだ。
観るのも読むのも辛くなることがあったが、心をえぐられた作品だ。
(1)井上光晴著『地の群れ』と、熊井啓監督の同名作品を観る。
井上光晴のことは、映画「全身小説家」でしか知らなかった。
この小説は佐世保を舞台に、長崎原爆被害者、被差別民、炭鉱で働く
在日朝鮮人、バタ屋の住民など、差別された人々を描く。
そして差別された者同士が殺しあう。
映画では何十匹ものドブネズミの群れが象徴的に何度も描かれる。
地を覆うドブネズミの群れが、1羽の鶏を奪い合い喰いちぎる。
その上を米軍の戦闘機が悠々と飛び、海には原子力空母エンタープライズが
堂々たる雄姿を見せている。
1970年の映画だが、この関係性は今も何ら変わってはいない。
今年は鼠年だが、私は何度もこのドブネズミの群れの映像を
思い出すことになるだろう。 つづく
(『地の群れ』は、ほるぷ出版『日本原爆文学5』に入っています)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2d/28/643837eab68cac33d7e8d9d74e0ef9ca.png)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/73/f7/341bd8f3d425cc6fd3c1a5e00f55964b.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/8f/90afcbfd2a29e7726118f52c14df44df.jpg)
(画像はお借りしました)
今年はこれ以上戦争を起こさない年に、そして一日も早い退陣を願っています。
年末年始のニュース番組は(極端に削られ腹立たしい限りですが)、どの局も
駅で孫を出迎え、見送るおじいさん・おばあさんの姿を映し出していた。
何でこうも毎年、毎年、紋切り型なのだろう。
おまけにコメントは、「今年はオリンピック・イヤーなので明るい年にしたいです」
素直で善良な、前向きで疑うことを知らない人々。
難しいことや、ややっこしいこと、今のところ自分に直接関係のないことには
目を背け、新しいものや楽しいものを追い求める。
その方が楽だ。皆が一つになって応援し楽しむ。
オリンピックが近づくにつれ、ますますこの傾向が強まっていくのだろう。
確かにオリンピックは、世の中にはびこる【臭いもの】に蓋をするには
もってこいのイベントだ。
この白々しさに、あと何ヶ月耐えなければならないのだろう。
年末年始に読んだ、あるいは観た次の作品は、そこにあるものから逃げず、
目を背けず、ごまかさず、真摯に作り上げたものだ。
観るのも読むのも辛くなることがあったが、心をえぐられた作品だ。
(1)井上光晴著『地の群れ』と、熊井啓監督の同名作品を観る。
井上光晴のことは、映画「全身小説家」でしか知らなかった。
この小説は佐世保を舞台に、長崎原爆被害者、被差別民、炭鉱で働く
在日朝鮮人、バタ屋の住民など、差別された人々を描く。
そして差別された者同士が殺しあう。
映画では何十匹ものドブネズミの群れが象徴的に何度も描かれる。
地を覆うドブネズミの群れが、1羽の鶏を奪い合い喰いちぎる。
その上を米軍の戦闘機が悠々と飛び、海には原子力空母エンタープライズが
堂々たる雄姿を見せている。
1970年の映画だが、この関係性は今も何ら変わってはいない。
今年は鼠年だが、私は何度もこのドブネズミの群れの映像を
思い出すことになるだろう。 つづく
(『地の群れ』は、ほるぷ出版『日本原爆文学5』に入っています)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2d/28/643837eab68cac33d7e8d9d74e0ef9ca.png)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/73/f7/341bd8f3d425cc6fd3c1a5e00f55964b.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/8f/90afcbfd2a29e7726118f52c14df44df.jpg)
(画像はお借りしました)