◇今は現役を退いて社会貢献活動に勤しみ、その活動の一環で、消費者建築相談を受けております。
◇そんな中、F.L.ライトの遺作「落水荘」の見学で学んだ「設計者の心得」を活用する場面に遭遇です。
◇年明けに消費者の方から「持ち家の資産価値がどのくらいあるの?」との相談を受けたのですが・・・。
◇賃貸部分を持つ持家所有の消費者で、売却して、夫婦で高齢者施設に入ろうとの目論見と推察・・・。
◇私は建築屋ですので、資産価値の事はよく分かりませんが・・・と、まずは、ひと呼吸おいて・・・。
◇でも話をよくよく聞けば(人の話はよく聞くものですね!)、非常に利便性の良い場所に住んでいる。
◇引っ越すのはもったいないなぁ~・・・今考えている目論見そのものへの疑問を感じてしまったのです。
◇そこで、お邪魔虫な私の余計な知識が「そこに住み続ける」ことの提案をしてしまったのです。
◇実は後で、相談の場においてチョット無責任な発言だったかなぁ~・・・と、チョッピリ反省です。
◇えっ?・・・「反省だけならサルでもする?」
◇若い頃、身障者の方の住宅設計を手伝ったのがきっかけで、高齢社会問題にのめり込んでしまい・・・。
◇担当の専門業務の合間をみて高齢社会の研究をしながら・・・視察旅行まで行ってしまいまして・・・。
◇当時「バリアフリー」という言葉はなく、「ノーマライゼーション」のコンセプトでの展開でした。
◇当時調べたデータからも、介助の必要性を論じる前に、持続可能性を論じる方が優先だと思っています。
◇今回コロナ禍で、唯一の回答を求める思考ではなく、可能性を論じる思考の必要性を学んだと思います。
◇ただ高齢社会研究知識を所属会社に充分に還元しないままリタイアしてしまった事・・・ごめんなさい!
◇そこで相談を受けた消費者の件に戻りますが・・・、
◇聞けば、病院もスーパーも徒歩圏(500m圏)内にある・・・そんな便利なところを離れて、どこに行くの?
◇住み慣れた町、住み慣れた住まいで、ご近所は知り合いが多い・・・なんで放棄するの?
◇高齢者は車の運転はできないよ!徒歩で生活できる町がいいよ!若い頃のように行動できないよ!
◇何度も言うようですが、ある医師が言い、私も同感の認知症予防の3要素
①好奇心、②有酸素運動(認知症に繋がるフレイル防止でもある)、③コミュニケーション
◇住み慣れた、かつ便利な町であれば、この3要素を満たす環境があると思っています。
◇この消費者の悩み事の真意は、資産売却の事ではなく、高齢期の夫婦の住まい方にあると思ったのです。
◇そう、「落水荘」見学で、F.L.ライトの遺言から学んだ、「設計者の心得」です。
◇立地条件(社会環境)はそろっているので、提案するとすれば、ポジティブ精神のライフスタイル!
◇高齢期になったら「何かを手助けしてもらうかではなく、自分は何ができるのか?」を、まず考える。
◇高齢期に必要なのは、「医・職・住(医療機関と活動領域と住まいを近くに!)」という考え方なのです。
◇今は建築技術が進んでいて、ちょっと言い過ぎですが、住まいづくりは技術的にはどうにでもなる。
◇なかなかできないのが、住まい手の暮らしづくり・・・社会の変化と共に価値観が変化するからです。
◇価値観と環境の変化に即した暮らしづくりが、なかなか自分の意識の中でできないからです。
◇ちなみに居住地を変えるのは、思考に柔軟性があり環境適応能力のある、高齢期に入る前にする事です。
◇大河ドラマのタイトルではないですが・・・「どうする高齢期の住まい?」
◇と、また余計な戯言を綴り、私のお邪魔虫な思い出話にお付き合いさせてしまいましたね。
◇なおこの相談内容は事実をもとに、個人情報保護の観点から少し加工していますこと、ご容赦ください。
2023年2月13日 by エコピープルおじさん(一級建築士、エコ検定合格)